このWebサイトの全ての機能を利用するためにはJavaScriptを有効にする必要があります。
>HOME >特集一覧 >VOL.248「アートセンター 〜あたらしい表現の可能性をひらく 〜」(2025年4月22日)
特集Vol.248

アートセンター 〜あたらしい表現の可能性をひらく 〜

公開:2025年4月22日

札幌市民交流プラザ2階にある札幌文化芸術交流センターSCARTSは、美術館や劇場とは異なる、実験的かつ分野横断的なアートを対象とした施設。札幌市はユネスコ創造都市ネットワーク加盟後、文化政策に力を入れ、老朽化したニトリ文化ホールの代替劇場建設と共に、作り手や観客を支援する場としてSCARTSを構想。アートマネジメント人材育成やまちづくり支援など、独自の機能を持つ公的アートセンターとして誕生した。

特集「アートセンター 〜あたらしい表現の可能性をひらく 〜」の表紙の写真です

7年目のSCARTS
札幌文化芸術交流センター

荒木悠 双殻綱
SCARTSと北大CoSTEPの共同プロジェクト「荒木悠 双殻綱:幕間」では、アーティストの創作過程を知ると共に映像を活用した作品を多数展示。現代アートの最前線に触れられる機会にもなった。

 表紙写真を見て、「ここ、行ったことがある!」と思った方もいるのでは。
 2018年、札幌・創成川沿いに誕生した札幌市民交流プラザ。オープンから約7年が経ち、本格的な劇場空間でバレエやオペラを楽しんだり、カフェ併設の図書・情報館で調べものをしたり、札幌の都心部にある複合型文化施設として定着。同じビル高層棟にはHTB北海道テレビや本誌発行元の朝日新聞北海道支社、企画・制作の朝日サービスも入っており、読者と縁の深いスポットともいえるだろう。
 そんな同プラザ2階に、アートセンターがあるのをご存じだろうか。札幌文化芸術交流センター SCARTS(スカーツ)。実はこのアートセンター、美術館とも、ギャラリーとも異なるそう。それでは一体どういう施設かと問えば、「明確な定義はない」というから驚きだ。身近にありながら、意外と知られていないアートセンターの魅力に迫りたい。

多様な事例は国内外に

 「美術館は博物館法、劇場は劇場法といった法律による定義があるのですが、アートセンターには、無いんです」。
 2023年10月に行われた「北日本アートセンターミーティング」で、進行役の木ノ下智恵子さんはこう切り出した。SCARTS開館5周年を記念したこのイベントでは、秋田、仙台、青森の文化施設関係者が登壇。さらに、東京・合同会社文化コモンズ研究所代表の吉本光宏さんが国内外の事例を紹介した。
 吉本さんによると、アートセンターといえば、食糧ビルを改装して若手作家の発表の場とし、森村泰昌や内藤礼ら現代アーティストを輩出したことで知られる東京・佐賀町エキジビット・スペース(1983~2000)や、1970年代に始まったビデオ・アートの発表に端を発するアメリカ・ニューヨークのThe Kitchen(キッチン)などが草分け。多くは民間主導で、活動内容や運営形態は多種多様だが、あえて定義するなら、「従来の美術館や劇場・音楽堂などの文化施設とは異なり、実験的かつ分野横断的なアートを対象に、作品の展示や公開より創造活動に力点を置く非営利スペースや拠点施設、及びそれを運営する芸術の専門機関・団体。歴史的建造物や倉庫、工場跡を改修して開設されるケースが多い」(吉本さん)といえるそうだ。

なぜ、札幌にアートセンター?

 単なるハコモノとは一線を画した、先駆的で前衛的ともいえるアートセンターが、なぜ、札幌に出来たのだろう。
 「札幌市は2013年に『メディアアーツ都市』としてユネスコ創造都市ネットワークに加盟し、翌年から札幌国際芸術祭を始めるなど文化政策に力を入れています。そうした中、老朽化したニトリ文化ホールの代替となる劇場が検討された時、作り手や観客を下支えする場所も必要ではという意見が出たそうです」と話すのは、SCARTS事業係長の松本桜子さん。
 そもそも札幌市は1997年に札幌市芸術文化基本構想を策定。条例や基本計画を定め、文化行政を進めている。こうした流れの中でアートセンターのアイデアが生まれたのだが、特にこれといったモデルがあるわけではなく、「札幌の芸術関係者や学識者らを集めた検討会議で出た『こういう機能は必要だよね』という声をピックアップした結果、アートセンターの形に集約されたんです」(松本さん)。
 機能とは、「相談・活動支援」「アートマネジメント人材の育成」「にぎわい創出や情報発信」など。つまり、まちづくりや文化芸術振興の一環として独自に生み出した新たな文化施設が、アートセンターの概念に通じたというわけだ。

SCARTS事業係長の松本桜子さん
札幌の文化イベント情報を発信するインフォメーションコーナーに立つSCARTS事業係長の松本桜子さん。

開館後3年間は試行錯誤

 関西出身の松本さんがSCARTSに関わったのは、開館1年前から。文化政策やアートマネジメント研究を専門とし、静岡文化芸術大学で研究員や奈良県庁で国民文化祭の企画などを経験。「札幌に面白そうな施設が出来ると聞き、(SCARTSを運営する)公益財団法人札幌市芸術文化財団の採用試験を受けたのが始まりです」と経緯を語る。
 全国的にも珍しい公的アートセンターの立ち上げに携わった心境を聞くと、「実はどんな施設になるか見えない部分も多かったのです」と明かす。というのも、SCARTSが管理する部分は1階オープンスペース(SCARTSコート)と2階多目的スペース(SCARTSスタジオ)、1~2階の屋内広場(SCARTSモール)と同プラザ内に点在。主催や貸し出しでイベントを行うにしても、隣接する図書・情報館やカフェなどへの配慮が求められた。
 それでも当初は、クラシックコンサートやアート系ワークショップ、大型展覧会、演劇、謎解き、コスプレなど、ジャンルを問わずさまざまな企画にどんどんチャレンジしたそう。その結果、「短い期間に同時並行で目の前の事業をこなすことで精一杯で、スタッフが疲弊してしまいました」と振り返る。
 そこで、3年目頃からは一般利用とのバランスを調整し、SCARTS主催事業の〝核〟を模索。基軸として見い出したのが、活動支援と他団体との連携だった。

「やってみたい」をサポート

 SCARTSが大切にしているのが、活動支援事業。なかでも、企画公募や助成金交付と共に注力しているのが、相談サービスの提供だ。
 「たとえば、『大型作品を作って展示したい』という移住アーティストに人や場所を紹介したり、集客に悩む演劇人に広報セミナーを案内したり。開館から累計約560件の相談がありましたが、同じ内容は1つもありません」と松本さん。さらに、「個人でバイオリン演奏をされる方が『教室を開きたいけれど何をすればいいのか分からない』とお越しになり、教室作りに必要な届け出や生徒募集の広報の仕方などを伝えたこともあります」という。
 そんなことまで?と驚くと、松本さんはこう続けた。
 「アーティストだけでなく、市民の皆さんが創造性ある活動を続けることも、まちの豊かさにつながります。文化芸術に関する『やってみたい』『困っている』という相談事は、大歓迎です!」。

荒木悠さん
ギャラリーツアーで、「荒木悠 双殻綱:幕間」会場に立つアーティスト・荒木悠さん。国内外で活躍するアーティストと交流できる場を設けるのも、アートセンターの役割の一つ。

地元団体との連携

 また、松本さんは、「後発施設として、これまで札幌で文化芸術活動を行っていた組織とつながりを持つことの必要性を感じ、札幌市内の専門機関との連携に取り組み始めました」と話す。
 その一例が、2019年から4年間続いた「さっぽろウインターチェンジ」。これは、札幌国際芸術祭SIAF(サイアフ)を支え、実験的な活動を行う地元団体・SIAFラボと共に、札幌の冬を普段と違う見方で楽しもうというアートの試みだ。冬や雪にまつわる事象についてアートの視点で実験や開発などを行い、SCARTSが企画内容に積極的に関わりながら協働するプロジェクトとなった。
 また、北海道大学の科学技術コミュニケーション教育研究部門・CoSTEP(コーステップ)との連携も大きなヒントになったそう。
 取材した2月中旬、その北大CoSTEPとの共同プロジェクトの成果発表展「荒木悠 双殻綱:幕間」が開催されていた。松本さんは「若い世代のアートとサイエンスに対する探究心や感性を育むことが目的なので、参加者の学びにつながることがゴール。今後は、アートを通して、多角的に物事を捉え、創造性を広げるような人材育成に力を入れたいです」と期待を寄せる。
 SIAFやCoSTEPといった地元の団体とつながり、クリエイティブな発見や驚きを提供することは、まさにアートセンター SCARTSの役割といえるだろう。

SCARTSは誰のもの?

 市民との接点でいえば、先述した公開型トークイベント「アートセンターミーティング」も、アートセンターの可能性を探る貴重な場といえる。3度目となる2024年度は、アートの視点にこだわらず、本を介した地域の交流拠点に焦点を当て、図書・情報館、青森・八戸市、東川町の施設関係者を招いて開催された。
 実は筆者も、「アートセンターミーティング」を通して「SCARTSってこんなに面白い施設なんだ!」と再認識した一人。以来、アートの展示にも積極的に足を運んだり、「こんなイベントをしてみたい」という知人に相談サービスを案内したりしている。
 ただ、トークで指摘されたのが「アートセンターは分かりにくい」ということ。確かに、「SCARTSといえばこれ」と言える目玉事業があるわけでも、人材育成の成果がすぐ出るわけでもない。
 とはいえ、文化芸術がどれだけ喜びや感動を与えてくれるのか、一度でも経験した方なら分かるのではないだろうか。コロナ禍を経て、アートと人をつなぐSCARTSの存在意義はますます強くなるに違いない。
 「あたらしい表現の可能性をひらく」「すべての人に開かれたアートとの出会いをつくる」「一人ひとりの創造性をささえる」――。SCARTSが掲げる3つのミッションは、私たち誰もに向けられている。アートに詳しいわけでもない筆者も、それがうれしいし、札幌市民としてちょっと誇らしい。
(文:新目七恵 写真:吉村卓也)

プラザフェスティバル2024
昨年10月の「プラザフェスティバル2024」では、「プラフェスヒロバ」としてSCARTSコートと札幌市図書・情報館1階サロンが開放的な空間に。これも、同館との連携の一つ。 (photo: Asako Yoshikawa)
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください

ここからは特集に関連して会員の皆さんからよせられたコメントをご紹介します。

投稿テーマ『芸術とはなんぞや?』

と、いきなりド・ストレートな設問で恐縮です。
芸術とはなんでしょう?
それは人の魂を揺さぶる静かな力、言葉では表しきれない感情のかたまり。時に慰めとなり、時に挑発する。
古代の洞窟壁画から現代のデジタルアートまで、表現したい欲求が人間にはあるのでしょうか?
美しさの追求か、真実の追究か、あるいは単なる自己表現か......。
う〜ん、哲学的!
なかなか難しいテーマだぞ。
でもきっと、本欄の読者のみなさまなら答えていただけそう。
お待ちしております!

岡本太郎の言葉を引用すると「芸術は爆発だ」と言いたいところですが物価高でお米が高すぎてそこまで生活に余裕もありません。
地元函館だと歴史ある街並みに溶け込みながら、良質なアート作品を展示・販売ギャラリーするショップがけっこうありますし陶芸体験出来るお店もあり東京の大手百貨店で個展を開催したことのある作家の作品がいわゆる「函館価格」で買えるのも魅力だと思います。函館市美術館も芸術の秋に行きたいです(KANTON$さん)

芸術とは、人の考えや気持ちを、絵や写真や音や動きで伝えることだと思います。芸術的なものって、どれも「何かを感じて欲しい」「自分を表現したい」って気持ちから生まれているような気がするので。だからみんな芸術に惹かれるのかな?(ゆなさん)

人によって違う味方ができるもの(ゆきだるまさん)

『芸術はココロの栄養』 (etsukoさん)

富山のガラス美術館と金沢の21世紀美術館に前日行って来ました!
ガラス美術館はとても繊細で素敵だなぁと思い21世紀美術館は斬新過ぎて私はあまりよくわからなかったです!
でもおそらくわかる人からみたら素晴らしい物なんだろうなぁと思い帰って来ました!
なので芸術はなんぞや…
心に響く心が動く物なのかな??と
私はまだまだ心に響くまでではなかったです!(サティさん)

芸術はエゴです。作品に対して大多数が無価値と思っても、他の一人が価値を見い出せばそれは芸術として認められる。わかる人だけわかればいい、それが芸術です。(こうきさん)

芸術とは…私に縁がないもの…です。創造力がありません。姉妹で姉が母の遺伝子の芸術的なところすべて持って生まれてしまったみたいです(涙)(mikioさん)

見ていて幸せになるもの(みちるさん)

芸術とは、デザインの意味から、考えてみると良いと思います。デザインとは、目的があってそれに、最上のかたちや意味で機能するものです。これを芸術に置き換えれば、芸術は、この世の中で人類に最高の祝福を、与えるものです。
この世の中で、自分の立場を利用して、まわりの人々に、意地悪をすることを、芸術的な嫌がらせといいます!?(かずひこさん)

「芸術の秋」などという芸術と「芸術とはなんぞや?」の芸術は異なるイメージです。
私には難しくて上手く答えられません。「芸術は心で感じるものではないでしょうか」(HIDAMARIさん)

芸術とは「抑えきれない自意識」です!(うさみさん)

自分を表現する(ひとみさん)

「言葉を介さず人の孤独に寄り添うもの」です。言語化できない感情や他人に言えない欲求などは、必ずしも全てが美しくて誰にでも受け入れられるものではないです。作品を通して感動を呼び起こし、精神を刺激するという意味において芸術となり光となります。それも万人共通ではなく時代が変われば芸術の基準も変わります。ある作品を芸術と判断する人が増えたらそこで芸術として認められるものだと思います。(さきこさん)

芸術とは、もはや他の人にはあんまりわからなくてもいいと思います。(キャプテンさん)

音楽ですね。特にコンサートでの感動がうれしいですね。(ぽんちゃんさん)

好きなアーティストが青春時代のお気に入りの曲をアンコールでやってくれると泣いちゃいますね(H)

見たり聞いたりしたときに、心が動かされるもの。最近では子どもの描いた作品にずいぶんと心動かされます。(dohmotorikakoさん)

分かりません(イモリさん)

「観たことで脳と感情が動く」のが芸術。作品を観て「よく分からないな」「なんだこれ?」など、個人がどう思おうが自由!「何か感じないと」「感想を言わなきゃ」の義務感がはたらいてしまうのは体裁と周囲を気にしているからでは?(ぎんざんさん)

自分の思いを表現するものだと思います。(あきさん)

見て楽しめるもの(うさぴょんさん)

芸術と触れていると、なんだか心地よく、満たされ、豊かさを感じます!言葉で表せない感情心情、そのままダイレクトに感じるのがすごく好きで、心が解放されます♡(つほさん)

時に誠実で素直な想いを、時に憧れや希望を、時には憎悪や嫉妬といった負の感情や嘘、破壊的衝動などを、具現化したもの。(もえさん)

心が震えたり、琴線を刺激したり、見たあとに何がしかの感情の変化があるものだと思います。(ヒロリンさん)

「哲学」です。(しょうぐんさん)

その人の感性を表現するもの(マリリンさん)

使い古されたフレーズですが……、『芸術とは、爆発だ〜』に尽きると思います。(テツやんさん)

私にとって「芸術」とはひとつの表現方法だと思っています。言葉で上手く伝えられない感情や気持ちを、言葉以外の様々な方法で表現できる上に、後世にも伝えていける素敵な方法だと思います!(ちろるさん)

人それぞれ(ののりりさん)

小学校三年生の頃、粘土で動物を作る授業があり、私は、せっせと猫を形作っていました。我ながらうまくいってるなと思っていたら担任の先生がやってきて、「上手だね」と。こころの中では「そうですよね。私も上手いと思ってます。」と。ところが。次に先生が「これは、馬だね!すぐ分かったよ」と。私は間髪入れずに「はい!馬です!」私の渾身の猫ちゃんのタイトルは「馬」。芸術っていです。(カオルさん)

時代ごとの価値観や思想を映し出す(たけゆきさん)

17ページ中1ページ目(506コメント中の30コメント)

※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください
先頭へ戻る