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特集Vol.252

響け、吹奏楽の夏

公開:2025年8月18日

夏休みのスポーツ系部活動で最も注目を集めるのが甲子園の高校野球なら、文科系のイベントは全日本吹奏楽コンクールだろう。全日本吹奏楽連盟と朝日新聞社の主催で毎年行われている大会だ。全国大会は秋だが、8月には地区大会が開かれる。北海道では、北海道吹奏楽連盟と朝日新聞社の主催で、小学生、中学、高校、大学、職場・一般のカテゴリーで「第70回北海道吹奏楽コンクール」が8月28日から31日まで、札幌コンサートホールKitaraで開かれる。

特集「響け、吹奏楽の夏」の表紙の写真です
クリーニングのためにばらばらにされたクラリネットのパーツ。札幌市手稲区の三響楽器で。
クリーニングのためにばらばらにされたクラリネットのパーツ。札幌市手稲区の三響楽器で。

吹奏楽のもうひとつの舞台

 夏休みのスポーツ系部活動で最も注目を集めるのが甲子園の高校野球なら、文科系のイベントは全日本吹奏楽コンクールだろう。全日本吹奏楽連盟と朝日新聞社の主催で毎年行われている大会だ。全国大会は秋だが、8月には地区大会が開かれる。北海道では、北海道吹奏楽連盟と朝日新聞社の主催で、小学生、中学、高校、大学、職場・一般のカテゴリーで「第70回北海道吹奏楽コンクール」が8月28日から31日まで、札幌コンサートホールKitaraで開かれる。

 北海道吹奏楽連盟には788の団体が加入しており、吹奏楽の裾野はなかなか広い。コンクールを前に、各団体の吹奏楽部は準備に余念がない。コンクールが近づくにつれて出場校の緊張が高まっていくのに呼応するかのように、その仕事がピークを迎えるのが裏方である楽器店だ。札幌市手稲区にある三響楽器は北海道の地場の楽器店としては最王手の老舗だ。

リペアマンという仕事

 店内に入ると、吹奏楽でよく見る金色に輝く楽器がずらりと並んでいる。サックス、トランペット、トロンボーン、ホルン、フルート。黒いのはクラリネットだ。大きなファゴットや、バリトンサックスは迫力がある。小さな物では木管楽器のリード(振動する薄い木の板)や、打楽器のバチ、メトロノーム、タンバリン、シンバルなども。大きなものだとマリンバやドラムもある。

 店内のカウンターで、受話器をあごに挟んで電話対応しながら、大きなバリトンサックスと「格闘」していたのは、同店の小梁川(こやながわ)匠さんだ。20人いる従業員のうち、5人が「リペアマン」と呼ばれる楽器の修理やメンテナンスを扱う専門家。小梁川さんはそのリペアマンの中でも約35年の経験を持つベテランだ。

 分解した楽器の金属の管の中に小さなライトをすべり込ませ、穴(音孔)から光が漏れないかをチェックしている。大きな楽器だから指で穴をふさげないので、タンポといわれるフタがその役割をする。少しでもここに隙間があると音が出ない。傷んだタンポを剥がし、接着剤を熱で溶かして、新しいタンポを貼り直す。古い楽器の場合はパーツもないので、何とか手に入るものを駆使して処理するという。

 机の上は、分解された楽器のパーツや大小さまざまな工具で埋め尽くされており、机の後ろの棚には修理を待つ楽器が黒いケースに入ってずらりと並んでいる。小梁川さんの席はカウンターを挟んでお客さんと対話ができる場所にあり、時にはお客さんと話をしながら、手が止まることはない。

金属の色合いが微妙に違うサックス(サクソフォーン)が並ぶ店内。ほとんどが金属でできているが、吹き口にリードを使っているので木管楽器に分類される。
金属の色合いが微妙に違うサックス(サクソフォーン)が並ぶ店内。ほとんどが金属でできているが、吹き口にリードを使っているので木管楽器に分類される。

「考える力」で楽器の声を聴く

 隣ではクラリネットがばらばらに分解されて、銀色の金属パーツがきれいに磨かれていた。担当していたのは、リペアを担当して4年目の種市泉水(いずみ)さん。吹奏楽部に所属していたときは打楽器を担当していたが、学校に来てすぐに直してくれるリペアマンや、困ったときに駆けつけてくれる姿にあこがれ、この世界に入った。リペアを学校で勉強していた時代は「ひたすら楽器を分解して組み直す、みたいな練習をしていました」という。この仕事で大切なものは?「考える力、かな。問題はどこにあるのか、何で不具合が起きているのか、自分が経験したことのないことに直面したときに、それを考える事が大事だと感じています。日々勉強です」という。

一人前になるのに最低5年

 店で待っているだけがリペアマンの仕事ではない。道内の吹奏楽部のある学校に出張修理に出向く。5人のリペアマンのうち、ひとりで修理に出向けるのは4人。「一人前になるのに最低5年はかかる」と小梁川さんは言う。「いろいろな楽器を扱わないといけないので、どんな楽器が来ても一通りわかるようになるには結構年月がかかるんです」。

 リペアマンは自身も演奏者であることがほとんどで、小梁川さんもトランペットを吹く。小学校のときのエレクトーンが音楽に接した始まり。野球もやっていたが、当時流行っていた音楽グループ「チェッカーズ」のメンバーがサックスをやっていて、その影響で自分もやってみたくなり、吹奏楽部に入った。中学・高校の吹奏楽部ではサックスを担当。その後、音楽を仕事にしたいという気持ちが強くなり、当時埼玉県にあった(現在は静岡県)「ヤマハ管楽器テクニカルアカデミー」に通い、技術を身につけた。音楽の道に進もうと思ったきっかけは高校のときに出会った顧問の先生によるところが大きいという。

 「コンクールなのでどうしても勝ち負けになりがちなんですが、勝負じゃなくて音楽の楽しさを教えてくれる先生でした。その先生がいなければ野球の方をやっていたかもしれません」と当時を振り返る。

吹奏楽部員とのコミュニケーションも 

 楽器の修理はもちろんだが、時には吹奏楽部員の相談相手にもなる。「思った音が出ないとか、うまくいっていないときは楽器のせいにしたくなるときもあるんですよ。そのせいで体調も悪くなったり。持ち込まれた楽器に悪いところがない。でもプレッシャーに負けちゃってふだんできることができない。そんなときはゆっくり話して、吹いてみて、うまくいくとそこで復活したりします。やっぱりベストコンディションでステージに上がってもらいたいですからね」と話す。

 訪れたのは7月中旬。十分忙しそうに見えたが「コンクールが近づくにつれ、もっと忙しくなるんですよ」と話す。預かって修理して送り出した楽器が、コンクールのステージで音楽を奏でる。大会のときは演奏を聴きに行くのだろうか。

 「いえいえ。何があっても駆けつけられるように、常にスタンバイですよ。移動中にぶつけてしまうとか、とてもよくあるので」と話してくれた。

 店にはもちろん楽器を買いに来るお客さんもいる。店には6つの防音スタジオがあり、実際に希望の楽器を吹いて確かめることができる。フロアの担当者は、お客さんの要望を細かく聞きながら楽器の提案をする。金属の色も、音色も微妙に違う。高価な買い物のため買う方も納得がいくまで吟味する。訪れた日も、吹奏楽部の生徒さんがホルン選びに訪れていた。いくつかの楽器を何度も吹き比べ、「ぴったりの楽器に出会えたかも!」と満足そうだった。

三響楽器のリペアマン、小梁川匠さん(左)はこの道35年のベテラン。 隣の種市泉水さんはリペアの仕事をして4年目。どちらも元吹奏楽部員。
三響楽器のリペアマン、小梁川匠さん(左)はこの道35年のベテラン。 隣の種市泉水さんはリペアの仕事をして4年目。どちらも元吹奏楽部員。

指導者不足を補う仕組み

 コンクールの中学、高校の部は、A編成が一番大きくて36人以上。中学、高校の部にはそれより小さい、B、C編成がある。学校の吹奏楽部は顧問の先生が指導するのが一般的だが、指導者不足や先生の負担を減らすため、また、部活動の地域移行の流れもあり、文科省が2017年に制度化したのが「部活動指導員」の配置だ。「中学校におけるスポーツ、文化、科学等に関する教育活動に係る技術的な指導に従事する」と定義されている。

プロの演奏家たちがサポート

 プロのサックス奏者で札幌在住の西村彰紘さんもその1人。現在市内の中学校で週4〜5日、放課後に吹奏楽部の指導を行っている。中学校の吹奏楽部は初心者がほとんどだ。西村さん自身も、楽器を始めたのは中学校に入ってから。神奈川県の公立中学校を経て、引っ越しで札幌へ。高校は吹奏楽の強豪校である東海大学付属第四高校(現東海大学付属札幌高校)へ。全国大会銀賞の経験を持つ。卒業後は音楽大学に進み、プロの演奏家の道を選んだ。 

 部活指導員の場合、顧問の先生もいるにはいるが、部活の指導はすべて任される。顧問の先生が指導できる学校ならば部活指導員は配置されない。

プロのサックス奏者で「部活動指導員」も務める西村彰紘さん
プロのサックス奏者で「部活動指導員」も務める西村彰紘さん

 いちばん多い相談は「いい音が出ない」、だという。「私も中学校で初めて楽器に触れたので、その気持ちがわかります。技術的な問題は口の開けかたや、リード(木管楽器の吹き口にある薄い板)が合っていないとかのアドバイス。あとは精神的なもの。『いい音』のイメージができていないと何が『いい音』なのかわからない。メロディーをひとつ私が吹いてみて、音のイメージをつかませるような指導もしています」。

 今の中学校の部活指導は知り合いの演奏家からの話だった。「指導者がいなくて部活がつぶれるくらいならやってみようかな」と引き受けた。西村さんは部活指導の他にも、自身の演奏活動や個人レッスン、また、札幌で吹奏楽の啓発活動や指導のサポートなどを目的に設立されたNPO法人BRASS-AIDの理事も務める。日頃クラシック音楽に触れることの少ない層に生の演奏を届けるために、仲間のプロ演奏家と共にさまざまな活動を繰り広げている。

8月下旬から北海道大会が始まる。音楽の舞台に関わる多くの人たちに支えられ、吹奏楽の季節が始まる。

(文・写真:吉村卓也)

吹奏楽コンクールの流れ

小学生、中学校、高等学校、大学、職場・一般の区分がある。
①地区大会(支部大会)7月下旬〜8月上旬
北海道をいくつかの「地区」に分けて実施
上位団体が北海道大会へ進出
※中学・高校の部は「A編成(大編成)」、より小さい「B編成」「C編成」がある。
A編成では課題曲と自由曲の2曲演奏。BC編成は自由曲のみ。
② 北海道大会 地区大会の代表が出場
ここで 金賞・銀賞・銅賞が決まり、全国大会や東日本大会への推薦団体が決まる。
8月28日(高校C、A)29日(中学C、B)30日(中学A、高校B、大学小編成)
31日(小学生、職場・一般小編成、大学、職場・一般)会場:札幌コンサートホールKitara 大ホール
③ 全国大会(全日本吹奏楽コンクール本選)
北海道・東北・関東・東海・関西・中国・四国・九州から代表が集結
審査は金賞・銀賞・銅賞の3段階(順位づけはしない)
10月18〜19日 中学、高校の部会場:宇都宮市文化会館
10月25〜26日 大学、職場・一般の部会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館

※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください

ここからは特集に関連して会員の皆さんからよせられたコメントをご紹介します。

投稿テーマ『夏の行事』

夏ですね〜。北海道も暑くなりました。
夏休みでもあるためか、いろいろなイベントでにぎわいますね〜。
なんたって夏まつりや、花火、お盆の行事。大阪では万博が開催中、そして甲子園では高校野球も。
この時期、必ず帰省したり、旅行したりする方も多いのではないでしょうか。
夏といえばこれ!と楽しみにしている行事やイベントはありますか?
あなたの夏のお話、ぜひお聞かせください!

花火大会は夏の鉄板。青春時代から大人になってもずっと毎年どこかの花火大会を楽しんでいます。
会場、家からの眺め、その時によりシュチュエーションは変わりますが、これからもずっと楽しみたい夏の行事です。(カフェモカさん)

高校野球を見るのが楽しみ(Kさん)

夏といえば夏祭り!少し前までは大小いろいろな夏祭りが開催された気がするけど、年々いろいろな理由でなくなってますね。(よつしーさん)

大阪。関西万博(イモリさん)

プール開きを楽しみにしています!
今年は昼間のプールだけで無くナイトプールデビューも果たして一層、夏らしい事をして思い出作りを楽しんでいます!(ゆきだるまさん)

夏といえば、お祭り、ビール!
観光地で 外の席で飲むビールは格別だと思います。(あきこさん)

夏が四季で一番好きだ!!!!(さとしさん)

この夏、私は二泊三日で台湾へ行ってきました。朝市では湯気の立ちのぼる小籠包、夜市では甘いマンゴーかき氷や香ばしい胡椒餅。初めて見る景色や香りに包まれながら、観光地を歩き回る時間はあっという間に過ぎていきました。
ところが、帰国の日に台風が台湾を直撃。空港はざわつき、出発案内板には「遅延」の文字が並んでいました。飛行機が飛ぶかどうかわからず、不安な気持ちで待ち続けました。
幸い、予定より二時間遅れで出発することができ、日本に戻ることができました。無事に帰れてほっとした反面、家に着いたときには心も体もへとへと。でも、そのハプニングも含めて、忘れられない旅の思い出になりました。(みさきさん)

ハプニングのある旅のほうが思い出としては強く残りますよね(H)

真駒内花火大会(今年はすでに実施済み)(テツやんさん)

夏といえば、裏庭で楽しむ焼肉やジンギスカン!子供も大喜びで、普段以上によく食べます。(ゆめぴりかさん)

高校野球はやっぱり見ちゃいますね。古里の県をと、長く住んでいて第二の古里でもある北海道を応援、古里とは別の両親の出身県も応援しています。自身が高校時代にやっていたバスケットボールを含めて他の競技のインターハイも応援してます。(タッチさん)

暑さを乗り切るカレーが食べたい(みやこさん)

東京に住んでいた母が3年前に無くなり、仏壇を北海道に持ってきました。長男のくせして、仏事は何も知らない。そこで、お盆は何をすればいいのか、毎年悩んでます。迎え火・送り火をしないといけないのに、どこにも「おがら」が売っていない。今年も馬と牛だけが仏壇の前に並んでます。ご先祖様御免なさい。(スズキ(ヒ)さん)

スイカ割り、それも浜辺ではなく、畑でやります。出産前まで、市民農園のボランティアに参加していました。とれたての野菜でカレーを作り、みんなで食べた後にスイカ割りをします。2歳の子が、長い棒を持ってフラフラとスイカを求めて歩いている姿は、大人もハラハラしました。欠かせない夏のイベントです。(まゆかさん)

テレビ塔のビアガーデン、ホテルのビアガーデンを楽しみます。(みきさん)

盆踊り大会(チマキチさん)

夏の行事と言えば、三人の息子一家が揃った時の流しそうめんパーティーです。朝から竹を切り出し汗だくで作成し昼前には『流しそうめんセットが完成します。子供たちは「キャッキャキャッキャ」言いながらそうめんを食べ、大人たちはビールを飲みながら眺めています。とても楽しいですよ。(しんごさん)

地元の花火大会です。(チイチイ江森さん)

名古屋港花火大会です。(キンキン江森さん)

高校生の頃、思い立って徒歩で札幌から稚内までの旅をしました。その後、行き先を十勝に変えて徒歩で狩勝峠を超えました。その時、たくさんの皆さんが差し入れをしてくれたり、車の中からも声をかけてくれました。どれほど力になったかわかりません。今は徒歩で旅している若者を見かけることがほぼないのですが、自転車で懸命に前へ進む姿を見かけると「気をつけてファイト!」と声をかけるのが夏の楽しみです。(さとり-さん)

徒歩で狩勝峠越えは超人的な体力だと思います!(H)

夏は、飲み物を持って海に行ってのんびりすることが、ここ最近の楽しみです。札幌から海は思ったよりも近くにあり、日本海も太平洋も気軽なドライブ感覚で行くことができます。大きな海に抱かれているような気持ちになるこの自分時間は、たまらない夏のお楽しみです。(すずめさん)

ズバリ「花火大会」です。特に、夜空に大きく広がる花火を、家族や友人と一緒に見上げる時間が大好きです。子どもの頃は、花火の音が聞こえてくると、浴衣に着替えて出かけたものです。お祭りの屋台でかき氷を食べながら、打ち上がる花火を眺める時間は、夏の最高の思い出です。最近では、SNSで綺麗な花火の動画を見るのも楽しいですが、やはり実際に会場で、空気を震わせるような音を肌で感じながら見る花火は格別ですね。今年は、久しぶりに地元の花火大会に行ってみようかと計画中!夏の行事にはその年の思い出だけでなく、過去の思い出を呼び起こしてくれる不思議な力があると感じます。今年の夏もたくさんの素敵な思い出を作りたいです!(cervejaさん)

先日、家族で関西万博に行って来ました。とても楽しかったので、今度は友人と一緒に関西万博に行きます。この夏は猛暑ですが、工夫して、関西万博を楽しんでいます。(うさぴょんさん)

TVで甲子園、高校野球観戦で~す(あんちょびパパさん)

子供がまだ小さい頃は毎年海水浴へ行ってました。あの頃は楽しかったなあ〜(mzlegmzさん)

お祭り(なおぴぃさん)

勝毎の花火大会(v0u0vさん)

毎年実家の庭でバーベキューをするのを楽しみにしています。屋外の開放感の元で味わうお肉は部屋の中で食べるそれとは一味違った魅力があります。歩いて数歩で家の中なので、キンキンに冷えた飲み物もすぐ取りに行けますし、片付けも簡単。我が家の夏の恒例行事です。(たくさん)

海!カラッと晴れた日には毎年行きたくなります(704さん)

ささやかに手持ち花火(キョウゴさん)

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