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新 北海道の本棚 vol.116
新 北海道の本棚
116

追悼 國松明日香展

公開:2026年9月24日
追悼 國松明日香展

追悼 國松明日香展

風の芸術家、その生涯を辿る

拝啓 明日香さん あまりに急に旅立たれ喪失感に襲われた人が、かくも多かったのでしょう。それがこの追悼展に結びついた。朝日カルチャーセンターでの最後の講義をお願いした時、「芸術は大き過ぎて僕には語れないから『彫刻が生まれるとき』でどうでしょう?」とご快諾いただいたその声と、少しはにかんだような微笑は忘れません。でも僕らは、自然界の森羅万象を独自の技法で表現し、公共空間に残された作品により、誰でも風を感じながら、あなたの芸術に親しみ続けることができます。そしてこの本を通して、あなたの芸術遍歴と作品群と人物像が後世に伝えられていくことはとても喜ばしいです。墜ちないイカロスのように、あなたが風を切り時空を超えて飛び続けていることを、願っております。 敬具

 少し解説をします。明日香先生には朝日カルチャーセンター札幌教室のデッサン講師を、1981年開業時から2022年3月の教室閉鎖まで続けていただいた。先生の芸術観などをお話しいただくために最終講義をお願いした時にエピソード。終了後にいただいた手紙には「(デッサン教室の)木曜日の夜は、ぼくにとって至福のひとときでした。」とあり心に沁みた。 また我が家の玄関には父登さんの「氷人」(1975年。メインモチーフは明日香さんの主要作品のひとつであるNIKE!)の隣に、明日香さんの平面(コラージュ)作品「IKAROS(A)」(2002年)を飾っている。このイカロスは実に気持ちよさそうにクレタ島を見下ろしながら飛んでいて、まるで明日香さん自身が翼を得て、風そのものになったかのような作品なのである。

評者:鈴木幸夫 知床自然アカデミー業務執行理事・元朝日新聞文化財団事務局長
編者 本郷新記念札幌彫刻美術館
出版 中西出版
発行日 2026年6月1日
価格 2,000円(税別)
出版社サイト:https://nakanishi-shuppan.co.jp/books...
+1冊:国松希根太 連鎖する息吹

『国松希根太 連鎖する息吹』(2026年5月求龍堂刊)は十和田市現代美術館で開催された同題美術展の図録だが、明日香さん、その父で昭和~平成期北海道画壇の中心人物だった登画伯、白老・飛生を拠点に活躍中の長男希根太氏の繋がりを通じて北海道美術史を垣間見る良書。併せてお読みいただきたい。なお「追悼 國松明日香展」は本郷新記念札幌彫刻美術館にて9月27日(日)迄開催。

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