

こんにちは。長い冬がようやく明け、北海道にも待ちに待った春がやってきましたね。道端の残雪が消え、水芭蕉や桜の便りが聞こえ始めると、なんだかわくわくした新鮮な気持ちになります。新しい環境での生活が始まるこの時期は、家族みんなが前を向いて歩き出す特別な季節です。
4月はお子さんにとっても、保護者のみなさんにとっても、新しいスタートの季節。ピカピカの新しい教科書やノートを前にして、「よし、今年こそはしっかり勉強をがんばってほしいな」「少しでも成績が上がるといいな」と期待を膨らませている親御さんも多いのではないでしょうか。宿題のドリルを新調したり、塾への通塾を検討したり、通信教育を始めてみたり……。子どもの学力を伸ばすために、様々な準備をされているかと思います。
でも、ここで少しだけ立ち止まって、一緒に考えてみてほしいのです。「教科書とドリル、そして学校の宿題だけで、これからの激動の時代を生きる子どもの学力は本当に大丈夫でしょうか?」
「えっ、学校の勉強を完璧にしていれば十分じゃないの?」と思った方にこそ、ぜひ知っていただきたい現実があります。実は今、日本の、そしてここ北海道の教育現場では、私たちが子どもの頃とは比べものにならないほど「大きな変化」が起きているのです。今回は、まだ新聞を購読していない、デジタル版も使っていないというご家庭に向けて、なぜ今、小中学生の学習に「ニュースの力」が必要なのかという理由を、柔らかく紐解いていきたいと思います。
まず、私たち親世代(昭和や平成の初期)が受けてきたテストや受験を思い出してみてください。あの頃の必勝法といえば、とにかく「暗記」でした。歴史の年号を語呂合わせで覚えたり、理科の公式を丸暗記したり、漢字を何度も書いて頭に叩き込んだり……。極端な話、教科書や参考書に書いてある知識をどれだけたくさん脳内にストックしているかで、点数や進路が決まる時代だったと言えます。
しかし、今はどうでしょう。スマートフォンを開けば、大抵の知識や年号、公式は1秒で調べられます。人工知能(AI)に質問すれば、複雑な計算も一瞬で正確な答えを出してくれます。そんな時代背景もあり、今の子どもたちが受けている教育は「知識の量」を競うものから、「知識をどう使うか」を競うものへと、ガラリとシフトしています。文部科学省が進める新しい学習指導要領でも、「思考力」「判断力」「表現力」という言葉が毎年のように叫ばれています。つまり、「知っていること」は前提として、「それを基にどう考え、自分の言葉でどう表現するか」が、あらゆるテストで問われるようになっているのです。
「そうは言っても、うちの子はまだ小学生だし、受験なんて先の話……」と思われるかもしれません。ですが、最終的な教育のゴールや入試のトレンドを知っておくことは、日々の学習の方向性を決める上で非常に重要です。ここ北海道の公立高校入試は、数年前に大きな制度改革がありました。配点が各教科100点満点へと移行し、問題の傾向がどうなったかというと……「とにかく問題の文章量と資料の数がめちゃくちゃ増えた」のです。
国語だけでなく、数学や理科、社会のテストでも、単に「答えを一つ書きなさい」という一問一答は激減しました。代わりに増えたのは、登場人物たちの長い会話文を読みながら実験の失敗理由を答えさせたり(理科)、複数の異なるグラフや統計資料、過去の文献を組み合わせて読み解き、現代の地域課題について自分の意見を記述させたりする(社会)問題です。これらに共通して言えるのは、「教科書に載っている知識の丸暗記だけでは、1点も太刀打ちできない」ということです。初めて見る長い文章に怯むことなくスピーディーに読み解き、そこに散らばるデータから必要な情報を抜き出し、頭の中で整理して自分の言葉で書く。この一連の作業ができないと、今の入試や学力テストでは点数が取れないようになっているのですね。
では、なぜ学習にニュースを取り入れることが、これほどまでに効果的なのでしょうか。ドリルと新聞の決定的な違いは、その情報が「過去のものか、現在進行形のものか」という点にあります。教科書やドリルに載っている内容は、すでに綺麗に整理され、答えが決まっている過去の知識です。もちろんこれは基礎体力として絶対に欠かせないものです。一方で、新聞やデジタルニュースに載っているのは、「今、まさに目の前の現実社会で起きていること」です。
例えば、北海道で暮らしていると、「観光客が増えてマチが賑わっている」というニュースや、「ヒグマが人里に出没して困っている」というニュースを毎日のように見かけますよね。これらを新聞で読むと、単に『大変だね』で終わるのではなく、そこには『環境問題(理科)』や『過疎化・経済(社会)』といった、学校の授業で習う勉強の要素がぎっしり詰まっていることに気づきます。教科書で『過疎化』と言われてもピンとこない子どもが、『おじいちゃんちの近くのJRの路線が廃線になるかもしれない』というニュースを読むことで、『あ、これが学校で言ってたことか!』と頭の中でカチッとつながるのです。学校の勉強(点の世界)と、現実の社会(線の世界)がつながることで、子どもの知的好奇心は爆発的に育ちます。勉強はテストのためではなく、大人の社会を知るために必要なんだと子ども自身が納得したとき、自発的に学ぶ姿勢が生まれます。これこそが、塾やドリルだけではなかなか作れない『生きた学力』の正体です。
ここまで読んでいただき、「なるほど、ニュースに触れるのが大事なのはわかった。でもね……」と思われた方も多いはず。「うちの子、活字が大嫌いで漫画しか読まないよ」「親の私だって忙しくて新聞をじっくり読む暇なんてないのに、子どもが読むわけない」「今の時代、わざわざ新聞を取らなくても、ネットの無料ニュースで十分じゃない?」どれもごもっともな意見です。今の生活に、いきなり文字がびっしり書かれた大きな紙の新聞がやってきても、どうしていいか困ってしまいますよね。
でも、安心してください。最初から子どもに『新聞を1面から全部読みなさい!』なんて言う必要はまったくありませんし、親御さんが毎朝早起きしてニュースを完璧に把握する必要もありません。それに、ネットの無料ニュースは『自分が興味のあること(芸能やスポーツ、好きなゲームなど)』ばかりが表示される仕組みになっているため、子どもの視野を広げるという意味では、少し偏りが出てしまうという弱点もあります。「朝日新聞」や「朝日新聞のデジタル版」には、子どもたちが無理なく社会に興味を持てるような、プロの手による工夫や機能がたくさん散りばめられています。
まずは、『ニュースって、子どもの勉強にめちゃくちゃ役に立つツールなんだな』と、頭の片隅に置いていただくだけで、4月のスタートとしては100点満点です。次回の5月号からは、具体的なデジタル時代のアプローチ方法についてお話ししていきます。この春、親子で新しい知の冒険へ一歩を踏み出してみませんか?