

こんにちは。ゴールデンウィークが明けて、北海道はようやく新緑が美しい、お出かけに最高の季節を迎えましたね。札幌の大通公園ではライラックが咲き誇り、あちこちの山や畑が鮮やかな緑に染まっていくこの時期は、ただ車を走らせているだけでも心が晴れやかになります。長い冬を耐え抜いたからこそ、この5月の美しさは格別ですね。
さて、新しい環境やクラスにも少しずつ慣れてきた5月。お子さんたちの家庭での様子はいかがでしょうか。「学校から帰ってきたら、ずっとスマホで動画を見ている」「宿題が終わったと思ったら、タブレットでゲームやSNSばかり……」そんな我が子の姿を見て、ため息をついている親御さんも少なくないかもしれません。注意すると部屋にこもってしまったり、親子喧嘩に発展したりと、スマホとの付き合い方に悩む家庭は本当に多いです。
今の小中学生は、生まれたときから身の回りにスマホやタブレットがある「デジタルネイティブ」の世代です。小さな指で器用に画面をスワイプし、自分が観たい動画を一瞬で見つける姿には、感心させられることもありますよね。スマホはとても便利ですし、これからのIT社会を生きる子どもたちにとって欠かせない道具であることは間違いありません。しかし、「動画やSNSばかりに触れている生活」には、子どもの学力や将来にとって、見過ごせない大きな落とし穴が隠されているのです。今回は、スマホ時代の今だからこそ、なぜ子どもに活字(ニュース)が必要なのかについて、親子の日常に寄り添いながら考えていきましょう。
最近、お子さんとの会話の中でこんな言葉をよく耳にしませんか?「これ、やばい!」「それな」「エグいって!」「間違いない」。何か楽しいことがあっても、悲しいことがあっても、驚くことがあっても、すべて「やばい」の4文字で片付けてしまう。実はこれ、スマホのショート動画やSNSの普及と深く関係していると言われています。YouTubeのショートやTikTokなどの動画は、テンポが良く、視覚と聴覚で直感的に理解できるため、子どもにとって非常に「心地よい」コンテンツです。難しい言葉を読まなくても、画面を見ているだけで状況がすべて瞬時に分かります。
しかし、この心地よさにどっぷり浸かっていると、「言葉を頭の中でイメージし、論理的に組み立てる」という脳の筋肉が、なかなか育たなくなってしまいます。文章を読むときは、文字を見て『これはどういう意味だろう?』『どんな景色なのだろう?』と、頭の中で想像力をフル回転させる必要がありますよね。動画ばかりを見ていると、そのトレーニングの機会が圧倒的に減ってしまうのです。その結果、学校のテストや教科書で、少し長い文章が出てきただけで『うわ、文字がいっぱいで読みたくない』『意味が全然頭に入ってきてくれない』と、拒絶反応を起こすようになります。文章を読み解く力のベースとなる「語彙力(言葉の数)」が不足しているため、国語だけでなく、算数の文章題や理科・社会の説明文でも、大きな「損」をしてしまうことになるのです。
スマホのもう一つの怖さは、「自分の好きなものしか見えなくなる仕組み」にあります。ネットやSNSの世界には「アルゴリズム(おすすめ機能)」というシステムが強力に働いています。子どもが一度ゲームの動画を観ると、画面の上は次から次へとゲームの動画や広告で埋め尽くされます。お笑い動画を観ればお笑いばかり、アイドルの動画を観ればアイドルばかりが自動的に流れてきます。これは一見、効率が良くて楽しいことのように思えますが、子どもの教育という視点で見ると、実はとても危険な状態です。なぜなら、「自分がまだ知らない、新しい世界に出会うチャンス」が、知らず知らずのうちに奪われてしまうからです。
北海道に暮らしている私たちは、日々、広大な大自然や豊かな食、地域のあたたかいコミュニティに囲まれています。しかし、子どものスマホの画面の中だけは、東京の発信者が作ったトレンドや、仮想空間のゲームの世界だけで完結してしまっている……なんていうことも珍しくありません。「自分の興味があること」の殻に閉じこもったままでは、学校の勉強で新しい分野(歴史、地理、科学、環境など)に触れたときに、『ふーん、自分には関係ないや』と、興味のシャッターを閉じてしまう原因にもなりかねないのです。
そこで見直されているのが、「朝日新聞」や「朝日新聞のデジタル版」のような、プロのジャーナリストが作ったニュースメディアです。ネットの無料ニュースやSNSとの決定的な違いは、「世の中の多様な出来事が、偏りなく、バランスよく並んでいる」という点にあります。新聞を開くと、1面の大きな政治・経済のニュースの隣に、環境問題の話題があり、スポーツの結果があり、北海道のローカルな出来事があり、文化や科学のコラムがあります。子どもがパッと画面や紙面を見たときに、『ん?クマの出没件数が過去最多ってどういうこと?』『北海道で新しい半導体の工場ができるの?』といった、『自分からは絶対に検索しなかったけれど、たまたま目に入ってきたニュース』との偶然の出会いが生まれるのです。この「偶然の出会い」こそが、子どもの視野を広げ、知的好奇心の種をまく最高のきっかけになります。
まずは「親子の会話のネタ」にするだけで大成功!スマホの代わりに、今日から新聞をガチガチに読ませなきゃ!と、ハードルを上げる必要はまったくありません。スマホに慣れた子どもに、いきなり『これを読みなさい』と言っても、逆効果になってしまいます。まずは、親御さんが『朝日新聞のデジタル版』などで気になった北海道の身近な記事を一つ見つけたら、夕食のときや、塾への送迎の車内で、『ねえねえ、今年の北海道の夏はいつもより暑いらしいよ、地球温暖化の影響なんだって』と話しかけてみてください。これだけで十分です。子どもが『へえ、そうなんだ』と思うだけでも、スマホの動画をダラダラ見ている時間とは脳の使い方がまったく変わってきます。信頼できる正確な情報を家庭の中に一滴、垂らしてあげること。それだけで、子どもの未来の学力は大きく変わり始めます。次回は、紙とデジタルの上手な選び方についてお届けします。