

牧野准子さんは車いす建築士です。彼女と出会ったのは、2年前。私がユニバーサルマナー検定を受講した時に、講師を務めていたのが牧野さんでした。
凛とした美しさと笑顔が印象的な彼女が「本当の障がいは、体の不自由さではなく、環境と人の心だ」と私に教えてくれました。
牧野さんは、3人の子どもを育てながら北海道インテリアコーディネーター協会会長として活躍している時期に、脊髄の難病を発症。両足にまひが生じ車いすユーザーになりました。
入院先の病院から戻ると家のあちこちにバリアがいっぱいで、何もできない自分に愕然としたそうです。しかし、建築士としての知識を活かし、住環境を改善。自分でできることを増やしたことで、自信を取り戻していきました。
「できないことよりできることを増やしていこう」
そのためには、家や街の「環境を整えること」が必要です。現在は、車いす建築士の目線で、まちづくりのアドバイザーや学校でのワークショップ、講演活動などを通して、誰もが生きやすい社会を目指しています。
牧野さんが昨年の秋に出版した本「北海道バリアフリー観光ガイド」は、道内の観光地やホテルを、3年かけて自ら実際に回り制作したガイドブックです。障がい者や車いすユーザーでも行ける観光地やホテルの使いやすさを紹介しています。この本の出版には、きっかけとなった出来事があるそうです。
「自分が車いす生活になってふさぎ込んでいた時、子ども達が『お母さんの好きなワインを飲みに行こう』と道内のワイン工房に連れて行ってくれたのです。けれど、試飲コーナーは2階にあり、バリアフリーの作りではなかった……。息子が『おんぶしてあげるから』と勧めてくれたが、そんな気にはなれず帰ってきたことがありました」と語ってくれました。
例えば、車いすで旅行に出かけた時にどんなことに困るでしょう?ホテルのビュッフェ式の朝食は車いすだと料理を取って運ぶことが出来なかったり、フカフカの絨毯もタイヤが埋まり進まなくなってしまうことがあるそうです。
また、車いすでの入店を拒否されることや、お店のトイレが車いすに対応していないこともバリアの一つになっています。「障がい者がもっと外へ出られるようにしたい」と4月から、牧野さんは「札幌市まちづくり戦略審議会」に参加することが決まりました。
「バリアフリーにするためには、どこがバリアなのか?を知ることから。みんなの問題として一緒に考えられるように改善していきたい」と語ってくれました。
私たち皆が生きやすい社会にするためには、私たち自身で「高齢の方も、障がいのある方も、赤ちゃんのいる家族も、暮らしやすい環境」を作っていく必要があると感じました。

