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「常設」に会いに行く vol.2

北海道立旭川美術館 北の木工を支える人々

公開:2021年5月17日
「常設」に会いに行く
須田桑翠(そうすい)《黒柿小箪笥》1979 北海道立旭川美術館蔵
須田桑翠(そうすい)《黒柿小箪笥》1979 北海道立旭川美術館蔵
福田亨《mushikago》  2021
福田亨《mushikago》 2021


 美術館の存立理由は世界中から借りてくる名品を展示する企画展にではなく、その館が所有する所蔵品にある。ところが実際には観覧者は企画展を目当てにして美術館を訪れることが多く、その館独自の所蔵品を見せてくれる所蔵品展・常設展に関心を払うことは少ない。

 北海道立の美術館のうちで最も北に位置する旭川美術館は、広く北海道の北の地域の美術教育・美術活動の支援をも目的の一つとする。ここに納められた所蔵品総数727点のうち、道北の美術品が約半数であるのはそのような理由による。そして木工の街である旭川を鑑みて木の造形作品が4分の1を占める。それを如実に示す展覧会が6月27日まで旭川美術館で開催されている。

 「匠の美」と題されたそれは「指物(さしもの)」「刳物(くりもの)」「曲物(まげもの)」「組木(くみき)」「木象嵌(もくぞうがん)」などの技法を見せることから始まり、重ねてきた公募展の受賞作から選んだ名品を並べる。中には明治以降の人間国宝などに認定された作家の傑作もそれらの技法の例として、総数34点が展示されている。また未購入ではあるが、期待の若手の作品も4点含む。これらは木工の街としての旭川を一般市民に周知し、実作者たちに参照してもらうという機能を持つ。

 そして若手の力作は、音威子府の「北海道おといねっぷ美術工芸高等学校」を卒業した作家(福田亨、水野咲衣花)たちによる優品である。道北の雄として全国的にその教育の成果を知られる実業高校である。たった710人の人口を擁するにすぎない村が基幹産業とまで盛り上げる村立高校として展開する情熱の中で育まれた幸運で真摯な若者たちである。大学などで学んでから、再び村に戻って制作の道を探る中で生み出した微笑ましくもひたむきな作品たちは年齢に見合わない技術的な完成度を、すでにものしている。消滅しかねない伝統技術を継承し、なおかつ新たな創造へと踏み出す力はどこから来るのか。羨ましい確たる歩みである。

INFO & ACCESS

旭川市常磐公園内
tel. 0166-25-2577
月曜、年末年始休館。祝日または振替休日の時は開館、直後の平日が休館。9:30〜17:00(入館は16:30まで)
所蔵品展:一般260円、高校・大学生150円。中学生以下、65歳以上、障がい者手帳のある方等は無料。
学校教育活動で利用する小中高校生、道民の日(7月17日)等も無料。詳細はお問い合わせ下さい。
JR旭川駅より徒歩約20分。タクシーで約10分 料金約1000円程度。
常盤公園に無料駐車場あり(9:00〜17:00まで)台数に限りあり。

※このページの内容、執筆者の肩書きなどは執筆当時のものです
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