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「常設」に会いに行く vol.22

有島記念館

公開:2023年1月16日
「常設」に会いに行く
藤倉英幸《有島に吹く風》 2012年
藤倉英幸《有島に吹く風》 2012年

絵画展示もある文学者・有島武郎の記念館

 JR北海道の特急の車内誌の表紙絵を30年以上も描いてきたのが藤倉英幸氏である。その他にもホクレンの出版物、六花亭の包装パッケージ、大学、行政機関の壁画など、道民ならおそらくその作品をどこかで目にしたことがあるだろうか。それだけ多く受け入れられた理由は氏のイラストまたは切り絵の持つリアルでかつ抽象化された作風ではないかと思う。この作品も手前の花の位置に本来は複雑な形状の池があり、その煩雑さを嫌い花に変えたのであろう。

 風景などは写真を使えば良さそうなものだが、意外に写真は難しい。私たちの心の中の北海道らしさは、気付かぬうちに余計なものが写り込んでいたり、自分が感じた風景と撮られた写真がかけ離れていたりと、裏切られることが多い。

 そこで絵画が求められる。ファンタジーのような現実である。そして時には意外な視点から捉えられた風景である。絵だから可能な視点というものもあるのだ。また写真でしか捉えられない場面というものもある。

 その藤倉兄弟である豊明、英幸、孝幸のイラストレーション、写真を所蔵するのがニセコの有島記念館である。

有島記念館は、地主でもあった小説家の有島武郎が土地を小作人に分け与え、農場経営をまかせたことを記念し、作家としての有島を顕彰し、その遺品や関連する文学作品などを所蔵、展示する館である。しかし美術作品も所蔵し、展示している。学芸員によれば、それはニセコという土地と結びついている画家だからである。地方の美術館の使命のひとつは、地元作家の顕彰・育成であるから、岩内生まれの3兄弟は十分にその使命にかなう。

 有島が地主であることを放棄したのはロシアの影響であるらしいが、彼はただ土地を分けただけではない。協同農場の理想を目指した。その理想の風景は今の北海道にあまねく広がる農場の豊かさにつながり、それを藤倉は表したのである。その協同農場はGHQの指導で解散させられ、農場のメンバーは記念館を立案したのであった。

有島記念館
ニセコ町字有島57番地   tel. 0136-44-3245
9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:毎週月曜(月曜休日の場合は翌日)、年末年始
ニセコ駅より徒歩約30分、タクシー5分
道南バス[倶知安駅発]「有島記念館前」下車徒歩5分
札幌、新千歳空港より自家用車で約2時間
※このページの内容、執筆者の肩書きなどは執筆当時のものです
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