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「常設」に会いに行く vol.4

北海道立函館美術館 西洋文化の窓口、東洋美術の精華

公開:2021年7月19日
「常設」に会いに行く
田辺三重松《大雪連峰初夏》1969年 北海道立函館美術館蔵
田辺三重松《大雪連峰初夏》1969年 北海道立函館美術館蔵

 北海道立函館美術館は、道内では最も早く開けた土地柄からして古くからの文化があり、特に書に関するコレクションが充実している。開館の当時はまだご存命であった松前郡出身の書家・金子鷗亭(おうてい)の作品および、鷗亭から寄贈された書や東洋美術が所蔵され、現在でも館内に特設された鷗亭記念室に展示される。

 現在では一般的に筆も持つこともめったにないが、つい数十年前までは字を書くといえばまず毛筆であり、絵描きは手書きとも言われ、絵画と書とは不可分の関係にあったことを思えば、美術館が書を置くことは実に自然なのである。

 さらに、大正期に函館で結成された工房美術団体・赤光社の中心的メンバーでもあった函館生まれの洋画家田辺三重松から寄託された油彩画を核として、洋画系のコレクションも充実する。何といっても神戸・横浜に並ぶ西洋文化への窓口であった函館だから、これもまた当然の文化活動であった。 

 また道内では唯一、書を多く所蔵する館として、「文字・記号に関する現代美術」を収蔵することとなり、アンディ・ウォーホール、荒木高子、バーバラ・クルーガー、河原温、高松次郎などの作品を購入している。これは函館の文化が歴史的に近世まで遡れるという既存の優越性に依ることを越えて、未来に開かれた可能性を指向することだ。

 もちろん函館と言えば、松前藩家老で、アイヌ絵等で有名な画家蠣崎波響(かきざきはきょう)は必須であり、屏風、掛け軸等の形で「京洛十二ヶ月図画巻」「名鷹図」など十数点が所蔵される。

 進物としても絵画を多作したという波響の作品は函館市内各所、市立函館博物館、函館市中央図書館、高龍寺、また個人宅などに多く残る。それらを繋いで、道立函館美術館から、市立函館博物館、旧相馬邸、高隆寺を巡る「波響ぐるっと4館ツアー」も実施され、函館の人々の波響愛が仄聞される。ただしコロナ禍にあって、このツアーも休止している。

 館内のカフェも当然休んでいるのだが、再び開くとしても町の飲食店と同様に、感染対策に追われることになろう。そういう意味でも、1日も早いコロナの終息が望まれるのである。

北海道立函館美術館
函館市五稜郭町
tel:0138-56-6311
月曜、年末年始休館
9:30〜17:00(入館は16:30まで)
ミュージアムコレクション(常設展)観覧料は 大人260円 大高校生150円。詳細はお問い合わせ下さい。

金子鷗亭《高青邱詩 焼筍》1938年  函館市蔵(北海道立函館美術館寄託)
金子鷗亭《高青邱詩 焼筍》1938年  函館市蔵(北海道立函館美術館寄託)
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