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「常設」に会いに行く vol.16

苫小牧市美術博物館

公開:2022年7月19日
「常設」に会いに行く
《白布切抜文衣》(カパラミプ)
《白布切抜文衣》(カパラミプ)

古代から現代まで 暮らしと造形

 苫小牧市美術博物館はその名の通り、博物館と美術館の両方の機能を持つ。もっとも英語では同じくミュージアムであるが。

 地方性もあり、ここにはアイヌ文化関連の歴史的作品である碗(わん)や小刀も多いのであるが、中でも個人的に驚くのは、収蔵品を保存しながら展示可能な設備があることだ。大きなガラスに挟まれた細長い棚を引き出すと、そこにはアイヌ衣服が後からも前からも観覧できるように収蔵されている。

 苫小牧地方にはカパラミプと呼ばれる衣服があり、それは白い木綿衣で、切り嵌め(アップリケ)用に切り抜いた模様を刺繍で縫い留めて、全体模様を表す。多くは背中の上の方から裾までを大きく模様で覆い、袖口も色布などで装飾する。

 このように華やかに刺繍などで彩られた衣服は一体どのように成立したのだろうか。古い1700年代の絵画にはこれほど広い面積を刺繍などで占めた衣服は見られない。もちろん画家と言えど、必ずしも現実を再現しているのではなく、思い込みでパターン化した表現を繰り返すこともあるから何とも言えないが、それらの絵画が正しければ古い時代には今も残る袖口、衿、裾などに比較的簡素な刺繍や切り嵌めなどの模様を施すだけであったが、時代が下ると背中一面の大きな模様に進化していくようだ。

 またその反面、古い時代には日本の小袖(和服の元となった日本の伝統衣装)をそのまま着ている例も結構見られる。ちょうど寛文小袖などの流行期で華やかな背中一面の装飾を誇る着物がアイヌ社会にも古着として流入した時期であるから、アイヌが着用する図でも典型的な江戸時代初期の慶長小袖の大胆な意匠が踊っている。
 アイヌ衣服には素人である筆者の目からすれば、アイヌ模様の大きな華やかな展開はその時期に重なり、つまり小袖の古着が本当に古びて消耗してしまったら、小袖の布の生き残った部分を切り抜いてカパラミプにしたようにも思えるのである。

苫小牧市美術博物館
苫小牧市末広町3-9-7 電話 0144-35-2550
休館:毎週月曜日(ただし、月曜日が祝日の場合は開館、次の平日は休館) 年末年始(12/29〜1/3)
開館:9:30〜17:00(入館は16:30まで)  観覧料:一般300円(240円)、大・高校生200円(140円) ※( )内は10名以上団体料金
JR苫小牧駅南口から徒歩約20分。バス停は「出光カルチャーパーク」が最寄り。下車徒歩5分。
※コロナの状況により営業時間等が変わる可能性があります。詳しくはお問い合わせください。
※このページの内容、執筆者の肩書きなどは執筆当時のものです
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