

大粒のさとほろは芯まで赤く、美しいジャムになる。
昭和の頃、札幌のイチゴは甘酸っぱくて柔らかかった。市内の果樹園は今もイチゴを栽培するが、果肉がしっかりした品種が主流。そんな中、わずか数軒が作る「さとほろ」という品種がある。札幌市が開発し、1988年に品種登録。病害に弱いけれど、芯まで赤くて香り高く、甘さと酸味のバランスがいい。定着しなかったのは、完熟前に採ると酸っぱくて硬いせいだ。しかし完熟すると柔らかくて傷みやすい。作り手の減ったさとほろを再発見したのが、ジェラート店「レ・ディ・ローマ」(札幌市南区)だ。オーナーの増谷尚紀さんは2006年にこのイチゴを知り、考えた。「完熟を冷凍すれば、おいしくて色の鮮やかなジェラートになる」。農家が植える苗を自ら探し、収穫を手伝いながら原料の量と品質を確保。今では「原料のさとほろがもっと欲しい」という商品に育てた。この方法は今も生産者たちを陰で支えていて、私たちも食べることで応援できる。さとほろは6月中旬頃、市内JA直売所などに並ぶほか、同店の期間限定ジェラートで食べられる。(文・深江園子)

同じく北海道生まれのイチゴ「けんたろう」