朝日IDをお持ちの方はこちらから
AFCのログインIDをお持ちの方(2024年7月31日までにAFCに入会された方)はこちらから
新規入会はこちらから

HTBの新番組「ナイス街録ちゃん」は、MCやスタジオを置かず、街の声だけで構成する番組だ。地下鉄の駅に立ち、言葉を拾っていく。番組に込めた思いをプロデューサーの多田健さんとディレクターの太田夏主馬さんに聞いた。
「ナイス街録ちゃん」どんな新番組でしょうか。
多田:地下鉄がとまるエリアや街を、お住まいの方や、そこに通う皆さんは、実はどう思っているのかをお伝えする番組です。スタッフは事前にその地域を調べては行きますが、地域の方のホンネはそうではなかったりする。それがこの番組の特徴にもなっていると思います。
太田:ドキュメントバラエティという言葉が一番近いと思います。ドキュメントだけだと少し重くなりがちですし、バラエティほど作り込むわけでもない。その間にある力の抜けた温度感を大事にしています。見ている人が「番組を見ている」というより、街を一緒に歩いているような感覚になれると思います。


企画立ち上げの背景について教えてください。地下鉄駅を舞台にした理由はどんなものですか?
多田:地下鉄駅の駅名を言えば、まずどんな場所なのか想像してもらいやすいのかなと。駅名から受ける印象は、実際に住んでいる人と、いつも通過していく人とではずいぶん違うと思います。番組を見た方がそこに面白さを感じ、じゃあ今日は降りてみようかな、となるかもしれない。地下鉄はそういう人の動きが生まれる場所でもあるので、新番組を立ち上げるときに、特別に何かを用意しなくても、地下鉄駅なら行けるという感覚がありました。
スタンスとして街録を選んだ理由を教えて下さい。
多田:さんぽ番組やタウン情報番組がたくさんある中で、番組側が何かを語るよりも、街の人にそのまま話してもらう方が、今は新鮮に見えるのではないかとスタッフと議論しました。街の中にある声をできるだけそのまま届けたい。その方法として、一番しっくりきたのが街録だったという感覚に近いです。今は本当に情報が多くて、スマホを開くと自分に向けておすすめされたコンテンツばかりが目に入る時代ですよね。だからこそテレビや新聞のような一覧性のあるメディアが、思いがけない情報や人の声と出会う場であり続けられたらいいなとも思っています。
街録番組ならではの難しさについて、どう感じていますか?
太田:駅と大まかなテーマは決めますが、細かい台本はありません。天気ひとつで人の流れが変わりますし、思ったより誰も立ち止まってくれない日もあります。その一方で、何気なく声をかけた方が、こちらの想像を超える話をしてくれることもある。予定通りにいかないからこそ、その街、その瞬間にしか出会えない言葉が生まれる。一番の魅力であり、難しさでもありますね。
街の人に声をかけるとき、一番緊張する瞬間はどんなときですか?
太田:やっぱり最初の一声です。立ち止まってもらえるかどうかで、その日の流れが決まってしまうこともあります。イヤホンをしている人は難しいかな、とか、学生やカップルの方が話を聞いてくれやすいとか、最後は直感ですね。「今ならいけるかも」と感じた瞬間に声をかけています。外れることも多いですが、それも含めて街録だと思っています。


撮影で特に気を配っていることはありますか?
太田:無理に引き止めないことです。少しでも嫌そうな雰囲気を感じたら、すぐに引くようにしています。あくまで“協力してもらっている”という意識を忘れないことが大切だと思っています。街の人との距離感が、そのまま番組の空気になる気がするので。
番組を今後どのように育てていきたいですか?
太田:演出は控えめですが、その分リアルがあります。通勤や通学の合間、何気ない時間にふと見てもらえて、「この街、ちょっといいな」と思ってもらえたら嬉しいですね。
多田:こうしてプレミアムプレスの紙面を通じて、番組や作り手の思いを伝えていただけること自体、テレビ局としてとてもありがたいことだと感じています。
この番組は、若手ディレクター3人が中心になって制作しています。全員が街録番組は初めてで、正直うま
くいかないことも多い。でも、その試行錯誤が番組の魅力になっていくと信じています。経験値や完成度を高めながら、「街や人をもっと知りたい」とする姿勢を大事にしたい。フレッシュだからこそ拾える声があって、それが今後の『ナイス街録ちゃん』のスタイルになっていくはずです。HTBがまた新しいことにチャレンジしているなと感じてもらえたら嬉しいです。