朝日IDをお持ちの方はこちらから
AFCのログインIDをお持ちの方(2024年7月31日までにAFCに入会された方)はこちらから
新規入会はこちらから


世界で唯一のばんえい競馬場から、車で約10分の場所にあるASA帯広北部。所長を務めるのは、帯広で生まれ育った酒井靖司さんだ。新聞販売店に勤めていた父の影響で、幼稚園児の時には近所の配達を手伝い、小学3年生で1つの区域を任されるなど、配達デビューの早さは最年少クラス。そんな経歴を持ちながらも、「新聞販売なんてやるもんか」と心に決めていた。家族旅行もままならないほど働く父の姿を見ていたからだ。十勝川温泉で就職し、ホテルマンとして働き出し2年経ったある日、母がホテルの寮を訪ねてきた。父が所長となった販売店を手伝ってほしいと土下座をしてまで頼み込む母の姿に気圧され、従業員になった。その10年後に経営を引き継ぎ、現在は60名の従業員を率いる。元ホテルマンと聞いて納得するほど柔和な雰囲気の酒井さんだが、「仕事では厳しいですよ」と自負する。多くの従業員を抱える所長としての責任感がにじむ。
帯広は比較的雪が少ないことで知られるが、昨年2月にはアスファルトが見えていた路面をたった半日で120㎝の雪が覆った。新聞配達が全くできなかったのは初めてのことだったと振り返る。さらにその半年後には気温が40度近くに迫る猛暑を記録し、全国ニュースにもなった。こうした環境で、誰よりも販売店を支えてくれているのは奥様だという。配達や集金など何でもこなし、「ここまで続けてこられたのは彼女のおかげ」としみじみと感謝を口にする。今では20代の娘さんたちも朝の配達を手伝っており、酒井家の思いやりが販売店の大きな力となっている。
今後について酒井さんは、「次世代のために道を拓いていかなくてはならない」と語る。若い人たちが新聞販売に関わりたいと思う環境をどう作るか。販売店の存続を考え、訴えなければという使命感を持つ。
休日には夫婦で自然豊かな場所へ出かけ、十勝の味覚を堪能する。「これだけ住んでいてもまだ出会えていない十勝の美味しいものが沢山あるよ」と話す酒井さんからは、十勝への愛が溢れている。雪が解けたら、酒井さんおすすめの上士幌・ナイタイ高原へきっと行こう。十勝の絶景が今から楽しみだ。
(文・写真/新開なつみ)
