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今回は事件や事故、警察、裁判などを担当する記者さんです。かつてなら「事件記者」と聞いたほうがピンと来るかも。いったいどんな取材活動を行っているのでしょうか。
まず、なぜ新聞記者を志したのですか。
新谷:(以下、新:)大学院で近現代史を専攻していて、戦時中の満蒙開拓団のことを研究していました。地元の長野県からは旧満州に農業移民として行った人が多数いて、長野には記念館もあります。その中でも特にモンゴル民族の地域で、どうやって現地の人を日本に取り込んでいったのかということを研究していました。ソ連軍侵攻以降の満州の混乱や数多くの犠牲を語り継いでいきたいという気持ちがありました。満州は私の中ではとても大きなテーマになっています。
そうなんですね。満州の話はもう記事にもなったのでしょうか。
新:広島や滋賀に勤務していたときには書いたのですが、北海道ではまだですね。同じ引き揚げの問題でも、北海道は樺太からの引き揚げを学びたく思っています。
今の仕事の内容を聞かせてください。
新:北海道報道センターで、事件、司法を担当する記者の1人です。事件や事故が起こったときに、まずその取材をするのが私たちです。
いつおこるかわからないものなので、なかなか予定が立たない仕事ですね。
新:そうですが、新聞記者の仕事は基本取材相手の都合に合わせて動くので、予定が立たないという意味ではどんな分野でもそう変わりないかなと思っています。特に不都合に感じたことはないですね。
事件や事故の情報はどうやって入ってくるのですか。
新:まず朝は北海道警察の記者クラブに行きます。前日から夜間の事件や事故の確認をします。必要に応じて、警察に説明を求めたり、取材をしたりします。
「夜回り」という言葉もありましたが、今もあるのでしょうか?
新:警察官の自宅に夜行って話を聞くことですね。必要に応じて大きな事件事故があれば連日行きますが、記者は記事を書くのが仕事なので、昔のように何もない日に夜回りするよりも、若い記者には自分が問題意識を持つテーマを掘り下げて欲しいと思っています。
締切ぎりぎりに大きな事件や事故があると大変そうですね。
新:かつては朝刊や夕刊の締切に合わせて書くのが一般的だったと聞いていますが、今はデジタル版がありますから、まずはデジタルのことを考えます。デジタルで速報を出すか出さないか、は常に頭にありますね。締切までは書かないということはもう無くなりました。
事件記者というと、休みもなしで働いているイメージがありましたが。
新:ワークライフバランスのことも言われるようになり、週休2日はきちんと休んでいます。その中で事件事故でどういう取材ができるのかを日々考えながらやっています。
単に事件を報じるだけの記事でないものが目を引きました。
新:例えば釧路であった小学校教諭の殺害事件では、住居の侵入にネットで注文した合鍵を使ったことがわかりました。実は鍵には番号がついていて、その番号さえわかればネットで簡単に合鍵が注文できます。今回の容疑者も交際中に被害者の鍵の写真を撮っていて、ネットで鍵番号を入力して合鍵を作っていました。そんなに簡単にできることを知らず、注意喚起したくて記事にしました。
私もあれを読んで鍵の保管に気をつけようと思いました。八雲町でバスとトラックが衝突して5人が亡くなった事故も、背景を書かれていましたね。
新:はい、八雲町の国道は正面衝突が多く、道内で最初に、中央線に溝をつけて車がはみ出すと振動で知らせる「ランブルストリップス」が付いたところです。ですが、事故が起きたのはそこから20キロほど離れた場所。設置「検討中」のエリアで事故が起きました。人が犠牲にならないと物事が動かないのかと、やるせない思いになりました。
性的マイノリティーも関心テーマとありました。
新:そうです。広島に勤務していたときに、自分の性や好きになる性に悩む子どもたちの居場所を作る動きを取材したのがきっかけです。自分の性別をどう認識するかは、成長するに連れて変わっていくケースと変わらないケースがあり、とても難しい問題です。そんな取材を通じて、性的マイノリティーの人たちに関心を持つようになりました。また、札幌では同性婚を巡る訴訟が係争中で、3月に日本で初めて高裁での判決が出る予定です。これは全国的にも注目を集めるでしょう。
2017年朝日新聞社入社。長野県出身。広島、滋賀、大阪社会部を経て2023年5月、北海道報道センターへ。現在、事件、司法担当。関心テーマは満州国、事件・事故・裁判、性的マイノリティー。