このWebサイトの全ての機能を利用するためにはJavaScriptを有効にする必要があります。
>HOME  >よみもの一覧  >新聞記者に聞いてみた  >「クマの現場を知るために、狩猟免許取りました」(2024/10/21)
新聞記者に聞いてみた vol.19

クマの現場を知るために、狩猟免許取りました

公開:2024年10月21日
新聞記者に聞いてみた
公開:2024年10月21日
古畑記者が書いた道東でのクマ「OSO18」被害に関する記事。2024年7月30日朝刊。

  今回の記者さんは古畑航希さん。入社4年目の若手の記者さんで、現在「遊軍」として比較的自由な動きができる立場にいます。どんな取材スタイルなのでしょう。聞いてみました。

 福岡での2年間の警察担当を経て、札幌にいらっしゃったのですね。

古畑:はい。警察担当のときは、朝夜、警察等の担当者を回り続ける日々でした。自分の興味の分野の記事を書くということはなかなかできなかったので、今とはだいぶ違います。

 まだお若く、新卒で新聞社に入られたそうですが、そもそもなぜ新聞記者を志したのですか。

古畑:祖父が新潟出身で医者をしていて、私が大学生で就職活動をしているときに、祖父が地元紙の新潟日報に載った記事を見る機会がありました。過疎地で診療所を開いた、という記事で「医療は誰にでも平等に与えられるべき」というようなことを言っていました。それを見て、「ああ、もっといろいろな話をしておけばよかったな」と思い、このように記録として何かを残していく仕事はいいなと思ったのがきっかけでしょうか。

 札幌に来て約1年半。これまでどんな取材をしてきたのでしょう。

古畑:最初の1年間は札幌市役所担当で、札幌市政を中心に取材していました。知床の遊覧船沈没事故や、市内のクマ出没についても取材しました。

 クマについてはかなり取材されていますね。

古畑:市役所担当として、市内に現れるクマを取材したのがきっかけでした。これだけの大都会にクマが出るというのはかなり特異なことで、中山間地に人がいなくなり、放置される地区や、畑、果樹などが増えたのが原因とされていることもわかりました。クマの警戒心が薄れていることもあるようです。昨年の駆除数は例年に比べてかなり多く、クマの数はかなり増えていると考えられています。道東で牛を襲っていたクマの「OSO18」についても取材しています。

 狩猟の免許を取ったと聞きました。

古畑:今年の3月に罠と銃の狩猟免許を取りました。環境問題に興味があるという理由もあるのですが、クマの取材をする中で、野生動物管理を誰が担うのかという問題に興味を持ちました。現場がどうなっているのか、駆除を担当するハンターの負担の問題も聞き、自分にも知識がないと渡り合えないだろうとの思いもありました。野生動物のさばきかたや、肉の取り扱いなど、一連の流れもやってみないと分からないことがあると思います。まだ実際の猟には行けていないのですが、この秋、冬の猟期に、経験者に付いてぜひ現場に行ってみたいと思っています。

 能登の地震の取材もされたとか。

古畑:今年の1月1日、ちょうど新潟の実家に帰っていたときに地震に遭遇しました。実家のある地域も震度5くらいでけっこう揺れたんです。新潟市は液状化の被害が出て、札幌に戻る予定を延ばし、翌日新潟市内の取材をして記事を送りました。一度札幌に戻り、今度は石川県珠洲市に、応援部隊として10日ほど滞在し取材しました。

 そのようなときは全国から記者さんが集まるのですね。

古畑:当時は応援の記者が全国から20名くらい来ていましたね。その3カ月後にまた10日間行きました。避難所生活でペットと離れ離れにならざるを得なかった人の話を書きました。冬の避難生活だったので、北海道で冬に災害が起こったらどうなるのだろうと思います。避難所の運営については、けっこう担当者の属人的な力量に左右されることが多いことも感じました。冬の災害についても取材していきたいと思っています。

 その他、関心のあるテーマはありますか?

古畑:総選挙が近そうなので、まずはそれで忙しくなりそうです。本格的な選挙取材は初めてなのですが、私は立憲民主党を担当することになっています。あとは北方領土の問題です。島民4世である大学生のことを取材して記事化予定です。来年は戦後80年という節目でもありますが、ロシアとウクライナの問題もあり、動きがなかなかないのですが、少し深堀りした記事を書いてみたいと思っています。

 北海道暮らしはいかがですか。

古畑:北海道に住むのは初めてでした。冬はけっこう大変なのだろうと思ってはいましたが、雪がずっと地面にあってアスファルトが見えないというのは新鮮でしたね。冬に街を歩いていたとき、白杖を持った視覚障がいの方が、進む方向が分からなくなり、近くの人が助けているのを目にしました。雪の中の生活、特に、車椅子の方などはどうしているのだろう、と思いました。

 長い目で見て、今後はどのような記者人生を考えていますか。

古畑:大きな枠では「環境」に関することに興味があります。気候変動や野生動物、再生可能エネルギーなど、取材していきたいです。冒頭の祖父の話に戻りますが、祖母によると、へき地医療で新潟水俣病の患者さんの診療にも当たっていたらしく、環境問題への関心はそんなことも影響しているのかもしれません。

古畑航希 記者
新潟市出身。2021年朝日新聞社入社。西部報道センター(福岡市)での福岡県警担当を経て、2023年5月から北海道報道センター勤務。1年間の札幌市役所担当を経て、現在は遊軍。
※このページの内容、執筆者の肩書きなどは執筆当時のものです
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください
先頭へ戻る