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新聞記者に聞いてみた vol.29

三たび北海道の地へ 原発、JR、核のごみ

公開:2025年8月18日
新聞記者に聞いてみた
公開:2025年8月18日

今回は北海道赴任3回目となる記者さんです。主に経済畑を担当されています。出身は沖縄だそうですが、なぜ3回も北海道に? 聞きました。

− 沖縄のご出身だそうですね。北海道とのご縁は?

上地:初任地が札幌だったんです。沖縄とはまったく別世界で最初は驚きましたが、すぐに慣れました。食べ物もおいしいし、風景も雄大で。特に夏の季節は最高ですね。休みの日には道内を回っています。

− そもそもなぜ新聞社に?

上地:父が沖縄の新聞社で記者をやっていたことや、大学のゼミの先輩でマスコミに行った人がいて、何となく身近に感じていました。でもメディア関係の会社を40社くらい受けて、朝日新聞の秋採用でやっと入ることができた、というところです。

− 東京では「特別報道部」に所属されていたそうですね。どんな部署だったのでしょう?

上地:ちょうど民主党政権ができた直後、2010年にできた部署で、記者は特定のクラブに属さず、政治・経済・社会の枠を超えた調査報道を行っていました。私は当時20代後半で、動ける人材として配属されたのだと思います。3.11後はそうそうたる先輩たちとともに東京電力や電力行政を深掘りしました。

− 原発事故を扱い新聞協会賞を受けた「プロメテウスの罠」も担当されたとか。

上地:立ち上げ当初、1回目と3回目のシリーズに関わりました。当時は数人で自転車操業でしたが、紙面への反響がすごかった。部署のリーダーは高知新聞から朝日に移った依光隆明さんという方です。彼の方針で、読者からの意見を手紙に絞ったんです。簡単に送れるメールやファックスでは受け付けないようにしたのですが、それでも1週間で段ボール一箱が埋まるほどまで手紙が来ました。取材しても記事にならないこともたくさんありました。そんなとき依光さんは、「まあ、しょうがない」と。あの熱量の中で学んだことはとても大きかったです。特別報道部は今はもうありません。

− その他は経済部が長かったのですね。

上地:6〜7年いたと思います。担当がいろいろ変わったのですが、最初は電力、証券業界、途中で一回札幌に赴任して、戻ってIT業界、鉄鋼、化学、素材などを担当しました。それから新潟テレビというところに出向しまして、また東京に戻って労働、流通、飲食、総務省とデジタル庁を担当し、去年の9月から7年ぶり3回目の札幌となりました。

− 幅広い分野を担当されたのですね。札幌に3回勤務というのも珍しいのではないですか?

上地:振り出しが札幌だったというのが大きいのですが、他のところに行くのなら北海道がいいと希望を出しています。3回もいると知り合いもできますし。

− 現在の北海道での担当は?

上地:大きく言って3つの柱です。北電、JR北海道、核のゴミです。

− どれも難題を抱えていると思いますが、まず北電だと泊原発でしょうか。

上地:2012年から止まっているのですが、原子力規制委員会がほぼ再稼働のOKを出しています。今堤防を高くしたり、新たなトンネルを造ったり、核燃料を運び込むための新港を造ろうとしたりしているのですが、まだ時間がかかります。運転停止の判決が出た裁判の控訴審も高裁で進行中です。

− JR北海道もたいへんな状況かと思います。

上地:ご存知のように新幹線のトンネル工事が難航し、札幌延伸予定が大幅に遅れました。2038年末と言ってますが、あと13年も先ですがまた延びるかもしれない。人が少なくなって道内の赤字路線が半分以上という状況の中、なかなかよい材料がないのが現状です。駅の工事は始まっていて、駅は先にできたけど肝心の新幹線が来ないという、なかなかシュールな状況が予想されます。

− 全く笑いごとではないですね……。取材されていてJRの方とかはどんな感じですか。

上地:みなさんがんばってはいるんですが、若い人材が流出したりしてなかなか苦しい状況ですよ。

− 核のゴミはどんな状況ですか?

上地:調査受け入れを表明した寿都町と神恵内村で、5年かけた文献調査が終わりました。町村はこれで約20億円を得ます。

− 次のステップは何ですか?

上地:文献調査報告書に対して、一般人からの意見募集というのがありまして、これに対する回答書を今作っているところです。その後、地元の町村長や北海道知事に、次の概要調査に進んでもいいですか、という判断を仰ぎます。その前に住民投票もやる予定で、これで反対多数となるとストップです。賛成となっても、鈴木直道知事は核のゴミに関しては強く反対の立場を取っているので、知事が拒否すれば止まります。でも、将来賛成派の知事になったらどうなるのか?これは前例がないので分からない、という不透明な状況なんです。

− 実際に行ってみて町の雰囲気はどうですか?

上地:寿都では反対の看板をちらほら見ますが、表面上は静かな感じですね。寿都では10月には町長選があるので、また通うことになると思います。

− 20年前の北海道と比べて今はどうですか?

上地:暑くなりましたね。当時は夏に半袖を着たのも数えるほどでしたが、今は半袖でないときつい。

− 全くですね......。

上地 兼太郎 記者
2005年朝日新聞社入社。札幌・高松・東京・新潟などを経て、2024年9月から札幌報道センター所属。経済部や特別報道部で電力・証券・IT・素材業界・流通・労働行政などを取材。現在は北海道電力、JR北海道、核のごみ問題等を担当。
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