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本シリーズも25回となり、北海道報道センターに在籍する多くの記者さんに登場していただきました。異動もあって常に記者さんは入れ替わるものの、さすがにすべて新しい方というわけにもいかなくなってきました。ということで、今回から2回目としてご登場いただく方もあります。そのトップバッターは帯広支局の中沢滋人記者です。中沢記者には以前上士幌町・タウシュベツ川橋梁のことをお聞きしました。2回目登場の方には書いた記事の深堀りをしてみようと思います。中沢記者は約7年間にわたり十勝地方の農業や食の取り組みを取材し続けています。全国版にも掲載された冷凍牛乳に関する記事について、取材の裏側を伺いました。
Q. そもそも、冷凍牛乳というテーマにどのようにしてたどり着いたのでしょうか?
中沢: きっかけは、広尾町の鈴木牧場の鈴木敏文さんとの長年のお付き合いです。実は、2020年に鈴木さんが手がけている「十勝の塩」という商品を通じて知り合い、色々な取り組みをされている方だと認識していました。その中で、以前から鈴木さんより「今度、冷凍牛乳を作る計画がある」というお話を伺っていました。
Q. 長年のお付き合いがあったからこそですね。記事には清水町の宮地牧場の宮地晋也さんも登場していますが、宮地さんとの接点はどのように生まれたのですか?
中沢: こちらは、鈴木さんとは別のルートでした。北海道農政事務所が主催するオーガニック農業に関するツアーがあるという情報を関係者からいただいたんです。そのツアーの視察先は、十勝管内の複数のオーガニック農家さんで、宮地さんもその一人でした。ツアーに参加した際に、宮地さんが冷凍牛乳の取り組みについて熱心に語られていたのを知ったのがきっかけです。
Q. お二方の冷凍牛乳という個別の動きを、どのようにして全国版につながる一つの記事としてまとめ上げられたのでしょうか?
中沢: 鈴木牧場さんが個別に冷凍牛乳を始めたというニュースだけでは、地域的な話題に留まってしまうと考えました。しかし、宮地さんのような移住してきた酪農家も冷凍牛乳に可能性を感じて取り組んでいることを知り、これは十勝、ひいては日本の酪農業界における新しい動きなのではないかと直感しました。そこで、それぞれの牧場の取り組みを紹介するだけでなく、「冷凍牛乳」というキーワードで、業界全体の潮流を捉える視点を持つことが重要だと考えたんです。日本乳業協会にも取材を行い、業界全体の動向として記事に深みを持たせたいという構想もありました。結果的に、お二方の事例を軸に、冷凍牛乳の可能性と課題を描くことで、全国の読者の関心を引く記事になったのではないかと考えています。
Q. 記事の中で、冷凍しても味が損なわれない理由について触れられていましたが、どのような情報を得られたのでしょうか?
中沢: 味や品質については、実際に冷凍された牛乳と冷蔵の牛乳を飲み比べて、風味や口当たりの違いを確認しました。個人的な感想としては、冷凍と聞かなければ全く違和感がなく、むしろほんのりとした甘みが増しているように感じ、大変おいしくいただきました。科学的な根拠については、急速冷凍機の専門メーカーである神奈川・横浜のテクニカンさんに取材しました。
Q. 実際に横浜にも行ったのですか?
中沢: 行ったんですよ。東京に出張すると、できるだけいろいろなところに行こうと計画します。日本乳業協会の本部も東京にあり、そちらにも出向いて取材しています。
Q. 記事の中ではほんの数行ですが、実際に足を運んでそこまで取材しているのはさすがです。
中沢: 十勝管内も含めて、移動する距離は相当多いですよ。
Q. 販売ルートや、生産者の方々の今後の展望についても取材されたのでしょうか?
中沢: 主に通信販売が中心になるということです。鈴木牧場さんも宮地牧場さんも、自社のウェブサイトなどを通じて、消費者に直接届けたいという思いが強いようです。将来的には、海外市場への展開も視野に入れているというお話も伺いました。
北海道の味と可能性を伝える記者魂に感謝いたします!
秋田県出身。1996年2月朝日新聞社入社。富山、厚木、旭川、滝川、東京速報センター、東京整理部、沼津、函館、東京地域面編集センター、甲府を経て、2018年から帯広支局長。十勝の主要産業である農業や暮らしに関する話題を取材している。