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新聞記者に聞いてみた vol.16

自分で体験する、を大切に

公開:2024年7月17日
新聞記者に聞いてみた
公開:2024年7月17日
原記者が参加した別海アイスマラソンの記事(2024年2月25日付。部分)

 今回の記者さんは札幌市政担当の原知恵子さん。テレビ局に2年間出向した経験があり、東京本社時代はニュースサイトの編集や、動画制作も行っていたそうです。いろいろな仕事があるんですね。その辺りも聞いてみましょう。

 ちょっと昔に戻りますが、なぜ新聞記者になろうと思ったのですか。

原:実は教員になろうと思っていたんです。中学社会、高校の地歴・公民の免許を持っています。ただ、いざ採用試験を受けようと思ったときに、社会科を教えるのに、「自分は世の中のことを全くわかっていないなあ……」と思い、社会のトピックを伝える新聞記者という仕事は自分の見聞を広げるためにいいんじゃないかと思ったんです。という訳で教育には興味があります。

 教育畑の取材もしていたのですか。

原:実はそこがまだ新聞記者の仕事には生かされていないんですよね。「情報」という教科が大学入学共通テストに加わると聞いて、教科書を取り寄せてみました。そして、通信課程で高校の情報の教員免許も取ったんです。東京でウェブ関連の仕事もしていて、「勉強すれば仕事に役立つかも」、と感じたのがきっかけなんですが。

 それは研究熱心ですね!

原:いえいえ、まだ形になっていないので……。いつかは記事にしたいと思っているのですが。

 氷上マラソンにも参加して記事にしてましたね。

原:別海町でやっている海の上を走るマラソンですね。最近は電話やオンライン取材など、現場に行かずして原稿をまとめるケースも増えているんですが、やっぱり実際に行くことが大事だと思うんです。あえて現場に行ったからこそ分かる体感。それが新聞社の地方拠点の核となるものではないかと思います。今回も、元々はプライベートで参加していたところ、現地で感動。急きょ取材して記事化につなげました。

 詳細はぜひ実際の記事で見ていただきましょう。

原:動画もありますよ!

 札幌市政担当の仕事はどんなものですか。

原:市政記者クラブというところに所属しているので、いろいろなニュースリリースが入ってきます。それらをチェックしつつ、放っておくと明るみに出ないことを取材するのが大事だと思っています。最近では、長谷川岳参議院議員の自治体職員に対する威圧的な言動問題も取材しています。

 どのように明るみに出たのですか。

原:もともとは歌手の吉幾三さんが自身のYouTubeで、「飛行機で態度の横柄な国会議員がいた」などと発信したのがきっかけです。その告発をきっかけに名前がわかり、報道機関が動きました。

 朝日新聞デジタルには長谷川議員が打ち合わせの席で札幌市職員を叱責する様子を記録した音声データも公開されています。

原:情報公開請求制度を使って、音声データを入手しました。「威圧的な言動」疑惑が発覚して以降、「きつい調子で話す方」「職員が萎縮している」などの証言が次々に表面化しましたが、実際にどのようなものだったか、読者に客観的な判断材料を示したいと思いました。情報公開で開示される「公文書」に音声データなどの電磁的記録が含まれることは、今回の件で学びました。音声なども交えてニュースを伝える発想は、テレビ局やウェブサイト編集の経験がいきたと感じています。

 吉幾三さんばかりではなく、ネットでは一般の人の発信も増えていますね。

原:ネット上には偽情報も氾濫していますよね。報道機関として、信頼できる情報を精査するとともに、たくさんの公開情報の中から「問題」に気づけるようにがんばりたいです。

 例えばどんなことですか。

原:地方議員に交付される政務活動費は、使途などが公開されています。収支報告書に添付された何千、何万枚もの領収書をひたすら見て、「法令違反ではないけど、市民感覚からは逸脱しているのでは?」といった事案に気づいて、問題提起できるか。地味だけど、大切にしたいです。自分なりに読み込んだ結果、何も出ないかもしれないので、コスパは悪いかもしれませんが……。

 町の話題の取材も好きと聞きました。

原:もちろんですよ!本来は、こんなにすてきな人がいるとか、心動かされる話題も多いので、そんないい話もお伝えしたいです。でも、お金をもらって取材活動をさせてもらっている以上、一般の人にとってはアクセスするのにハードルが高いもの、あまり誰もチェックしないものなどを取材して伝えていくのが記者としての役割だと思っています。

 好奇心旺盛と自己分析されていますね。

原:はい、主に好奇心のみで今に至っているという感じです。 

 最近はどんなことに関心を?

原:北海道で問題になっている獣害のことが気になっています。人命に関わるトピックですので、動向をチェックしています。ただ、知識が乏しいので、今年、わなと猟銃の狩猟免許を取得しました。実際に狩猟に行ったことはないのですが、取材に役立つと良いです。

 え〜!それは筋金入りの好奇心!

原:吹奏楽コンクールとか、高校野球も担当しているんですよ。これは自分で決めたことではないですが。

 北海道生活はいかがですか。

原:これまで住んだところの中でいちばん北に来ました。希望した訳ではなくて、偶然の異動です。雪が積もるのも新鮮で、それに最適化された暮らしがあるんだなぁ、と感じました。よそ者の視点で北海道の今を見ていきたいと思います。

原知恵子記者
島根県出雲市生まれ。2008年、朝日新聞社入社。岡山総局、京都総局、学研都市支局、名古屋報道センター、名古屋テレビ出向、東京本社コンテンツ編成本部を経て2023年5月から北海道報道センター。現在は札幌市政や吹奏楽コンクールを担当。
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