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新聞記者に聞いてみた vol.20

自分が書かなければ知られなかったことを伝えたい

公開:2024年11月18日
新聞記者に聞いてみた
2024年6月20日朝刊。長谷川記者の農業教育の記事。

今回の記者さんは長谷川潤さん。入社24年目のベテランです。自ら「とにかく地方勤務が長かった」と言いますが、どんな記者経験を積まれてきたのでしょうか。聞いてみました。

 プロフィールを見ると確かに地方勤務が多く、異動も頻繁です。いろいろな土地を経験されていますね。

長谷川:記者人生の中で半分以上が地方ですね。入社以来、ありとあらゆる分野をやった、という気がします。何でもやります、どこでも行きます、と常に言ってきたからでしょうか(笑)。

 そもそもなぜ新聞記者を志したのですか。

長谷川:国がどうだとか、正義がどうだとか、そういうものは特に無くて、記者になりたいという明確な志があったわけではありません。でも心のどこかで、いろいろな所でいろいろな人に会ってみたい、という希望はありました。小学校6年生の卒業アルバムに報道機関で働きたい、と書いたことはあったんですが、それも忘れていました。

 地方暮らしはいかがでしたか。

長谷川:ずっと東京で育ったので、地方支局の赴任が初めての地方暮らし、1人暮らしでした。東京より「人が近い」というのが第一印象でした。時には優しく、時には厳しく、といった付き合いで、今でも初任地で知り合った方でやりとりが続いている人もいます。

 地方だと朝日新聞の知名度が低いところもあるのではないですか

長谷川:地方でよく読者の方に言われたのは、「地域版を読みたくて朝日新聞を取っているわけではない。中央のこと、政治や海外のこと、田舎にいても日本や世界の話を朝日新聞なら正確にきちんと伝えてくれると思ってるから取ってるんだ」というようなご意見をよくいただきました。

 地域面にはあまりニーズがないということでしょうか?

長谷川:いや、それがそうでもなくて…。

 具体的には?

長谷川:かつて静岡でデスクをやっていたときに、地域面が統合されて、お隣の山梨と記事を共有するブロック化をしていた時がありました。お互いの県の記事を共通で使うのですが、静岡の記事をトップにすると山梨の読者からおしかりの電話やメールがたくさん来ました。逆もしかりです。地域面もしっかり読まれていることを実感しました。

 現在の担当はどんな分野ですか。

長谷川:道政のキャップをやりながら、遊軍のサブキャップをやっています。道政に常駐しているのは私1人なのですが、道政記者クラブには同僚の記者が入れ替わり立ち替わりやって来て、道政に関わることを取材します。常駐記者がすべてやる、ということではなくなってきています。

 人が減ってきた結果でしょうか。

長谷川:人(記者)が減ってきているのは事実です。昔のビジネスモデルではなくなってきました。ですが、少なくなったからできませんでした、ではなく、昔からやってきたものの取捨選択が必要になってきていると思います。時代に合わないものは捨てていく。少ない人数でも取材を続けるための模索を続けています。そういう意味では、いろいろなことをやってきた自分の経験が生きると思います。

 北海道勤務は2回目ですね。久しぶりに戻って感じることはありますか。

長谷川:前回が2015年〜18年。人口減はそのころから比べてかなり進んでいて、待ったなしの状況だと感じました。前回は札幌中心の取材が多かったのですが、今回は地方に出ることも多く、医療サービスの偏在は相当なものだと思いました。知床の観光船事故の取材で、地元の人たちが、今病院は忙しいだろうからと来院を控えたという話がありました。医師たちが盛んに「申し訳なかった」と言っていました。一生懸命がんばっている人たちが、自分の責任でもないのに申し訳ないという気持ちにならないようにしないといけないと思います。その「申し訳ない」は地域課題の裏返しのような気がします。

 長谷川さんの専門分野は何なのでしょう。

長谷川:特に専門分野がなくて、広く浅くやってきました。専門分野を極めて本社に上がるという道もあり、自分はそれがないというコンプレックスもあったのですが、いろいろな分野でそれぞれの面白みを感じることができました。記者歴も20年を越えてくると、これはあの経験が役立ちそうだなということがよくあって、あちこちいろいろ「かめる」というのが強みにもなりました。

 今後やりたい取材はありますか。

長谷川:経験を重ねるごとに、記者という仕事が好きなんだ、と実感しています。どの土地に行っても、どんな担当をしても楽しめる、一生懸命やれる自信はあります。この業界にいると特ダネを取らなくちゃという圧力もありますが、かつて先輩に「君が知らせなければ世の中に知られなかったものが伝えられれば、それは立派な特ダネだよ」と言われ、今でも大切に胸に持っています。あと、デジタルの時代になって、地方のニュースを全国や世界に発信するチャンスが広がったことにも可能性を感じています。

長谷川 潤 記者
東京都出身。2000年朝日新聞社入社。三重県津支局、岐阜県高山支局、名古屋本社社会部、静岡支局、名古屋報道センター、名古屋支部組合委員長、北海道報道センター、岐阜総局、静岡総局、甲府総局を経て、2022年9月から2度目の北海道報道センター勤務。
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