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>HOME  >よみもの一覧  >新聞記者に聞いてみた  >「写真は時間を遡れない。先読みして現場へ。」(2023/11/20)
新聞記者に聞いてみた vol.8

写真は時間を遡れない。先読みして現場へ。

公開:2023年11月20日
新聞記者に聞いてみた
2023年9月23日朝刊(東京本社版)
2023年9月23日朝刊(東京本社版)掲載の角野記者の写真と記事

 今回は記者は記者でも写真記者、フォトグラファーのご紹介です。文章ではなく写真、いや写真だけでなく、写真も文章も動画も有りです。

 フォトグラファーということですが、北海道の朝日新聞には何人のフォトグラファーがいるのですか?

角野:(以下、角)実は私1人なんです。

 え!この広い北海道を1人でカバーですか?大変そうですね。

角:かつては3人いたこともあったようですが、今は1人なんです。3月に着任しましたが、もう礼文、奥尻、利尻、稚内、知床などに行きました。

 動いてますね〜。経歴を拝見するとラジオディレクターからの転身ですね。どうしてフォトグラファーに?

角:まず一番の理由は、現場に行きたいと思ったからです。東京の民放ラジオのディレクターだったので、著名なパーソナリティーやゲストの方と仕事をするのは楽しいのですが、常に裏方です。スタジオの外からガラス越しに出演者をながめていますが、中には入れないし現場に行くこともないのが寂しく思えました。現場に行けるということで転職先に選んだのが新聞社でした。

 当初はフォトグラファーではなかったのですね。

角:そうなんです。最初はいわゆる「ペン記者」としてスタートしました。地方支局勤務で、写真を撮っているうちに楽しくなって、興味がわいてきました。写真で手に職をつけるのもいいなと思いました。自分の撮った写真が社内の賞を取ったりして、映像報道部の目に止まり、東京映像報道部でフォトグラファーとしてスタートしました。

 なるほど、そういう経緯だったのですね。写真と文章の大きな違いはなんですか?

角:文章は「時間をさかのぼれる」ということでしょうかね。現場にいなくても見ていなくても書けることはありますが、写真はそうはいきません。何が起こるのかを先読みして動いて、現場にいないと写真が撮れません。

 これまでどんな現場に行かれましたか?

角:海外でのフィギュアスケートの取材がなぜか多かったですね。コロナ禍のときにスウェーデンで大会があったのですが、現場に入れたのはフォトグラファーだけ。ペン記者はリモート取材しかできませんでした。ですからスウェーデンのコロナ防疫体制を現場で取材できたのは私だけで、それを記事にしました。フォトグラファーを名乗っていますが、写真だけにはこだわりません。 

 フィギュアスケートは縦横無尽に動くので撮影が大変そうな気がします。

角:今はオートフォ−カスが進歩したので助かっています。昔のフォトグラファーはどうやって撮ってたのかと思いますけど。一方で、普通の人でもピントがあった写真が撮れるのが当たり前の時代になり、ハードルが上がった部分もあります。

 ふだんはどんなスケジュールなのですか?

角:スケジュールはあってないようなもので、半分は発注される仕事、それ以外の時間で自分のテーマで企画を立てています。

 最近の自分の企画はありますか?

角:北海道に来たら、クマがサケをくわえている写真を一度は撮りたいと思っていました。今年はサケは来ないし、ドングリも不作でクマが困っているという話を聞いていたのですが、本当にサケがいなくて、クマがポツンと海の中に入っている写真を撮影して、一面に掲載されました。 

 最近は動画にも携わるのでしょうか?

角:はい、携わります。自分の企画では2021年の5月、コロナ禍の中での葬儀を取材しました。コロナに罹患した方とのお別れはどうなっているのか、ということから調査を始めました。いくつかの葬儀社に当たり、実際に遺体と対面することができ、かつ取材させてくれる家族を紹介してもらい、お別れの場面を動画で撮影することができました。

 拝見しまたが、ドキュメンタリーの力作ですね。

角:ありがとうございます。ラジオのディレクターをやっていたこともあって、時間軸の中でストーリーを組み立てるという手法に抵抗が無かったのもよかったかもしれません。

角野記者の動画はこちら「最期はやっぱり会いたい コロナ禍の弔い、家族の選択」

 音の技術が役に立ったことはありますか?

角:動画を作る場合でも、音はとても重要な役割を果たします。音がきちんとしていない動画は、見るに堪えません。反対に音がきちんとしていればそれだけでストーリーが紡げます。音に関わっていたことで、そこは役に立ちましたね。

 動画の編集も自分でやるのですか?

角:私は撮影と編集は分業すべきだと思っています。私も編集はできますが、自分の仕事は普通の人が見られない現場に行って、映像を記録することだと思っています。新聞社が作る動画を、どれほどの読者の方が求めているかというのも、はっきりわかりません。今、会社も体制を変えようとしていることもあり、注視はしていますが。

 そこは深いテーマですね。

 どうもありがとうございました。

角野 貴之 写真記者
1977年東京都生まれ。ラジオのディレクターを経て2006年9月朝日新聞社入社。徳島総局、長岡支局、佐渡支局を経て、東京映像報道部へ。2023年3月から北海道報道センター勤務。
※このページの内容、執筆者の肩書きなどは執筆当時のものです
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください

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