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新聞記者に聞いてみた vol.17

親になり、いろいろなことが自分ごとに

公開:2024年8月20日
新聞記者に聞いてみた
公開:2024年8月20日

   今回の記者さんは佐藤亜季さん。大阪や東京で経済担当の記者経験が長いですが、現在は特に担当を持たず、自分の興味のあるものを取材する「遊軍」的な取材をしています。昨年10月に育児休業から仕事に復帰したそうです。

 専門紙の記者から転職されたのですね。

佐藤:物流や輸送を専門に扱う新聞社にいました。流通には興味があったのでよかったのですが、どうしても扱う話は専門的になり、読者も限られます。もっと誰もが分かるようなテーマを取材したいと思い、一般紙に移りました。

 専門紙との違い、どうですか?

佐藤:いろいろな人と会って、いろいろな価値観と出合えて、それがとても楽しく、深く仕事にのめり込んでいきました。ずっと仕事一筋でやって行こうと思ってましたね。
 ところが転機が訪れた?
佐藤:自分がそうなるとは思ってもみなかったのですが、結婚して、子どもができました。今2歳で、仕事があるときは保育園に預けています。昨年10月に育児休業から復帰しました。

  人生分からないものですね。

佐藤:全くです。

仕事に対する向き合い方も変わりましたか?
佐藤:変わりましたね。関心領域の幅が広がりました。小さい子どもを持つ親のことを、これまでは自分ごととして考えていなかったことを痛感しました。自分が親になったことで、想像もしていなかったような大変さを知りました。子どもがこんなに泣きわめくとか、こんなに辛いこともあるのか、というのは想像もつかなかった。赤ちゃんや子どもを持つ母親たちに共感してもらえるような記事を書きたいと思いました。

  「君の椅子」(※生まれて来た子どもに自治体が椅子をプレゼントするプロジェクト)に関する記事もそのような関心から生まれたのでしょうか?

佐藤:その通りです。このプロジェクトの関係者に会ったことが直接のきっかけで、その趣旨にとても感銘を受けました。不思議なもので、かつて旭川に1年赴任していたときにこのプロジェクトが始まったのですが、そのときは私の心にひっかからずに、記事にしたこともなかったのです。自分が親になったからこそだと思います。家族だけでなく、社会で子どもを育てていくべきなのだなと、強く感じています。

  子どもに関係する出来事に敏感になったのでしょうか。

佐藤:それはありますね。札幌市内のマンションで3歳の女の子がマンションの外階段から転落して死亡するという痛ましい事故がありました。階段にあった15センチの隙間から転落したと可能性もあると見られています。たまたま夜勤で現場を取材することになり、隙間を自分の目で見て「これならウチの子ならすり抜けられる」と思ってぞっとしました。これまでは柵を乗り越える事故に対する対策が多かったのですが、こういう盲点もあるかも、と。なぜこの隙間が必要なのだろう、と思いました。再発しないよう、注意喚起するような記事を書くべく、専門家の方に取材を進めているところです。

  セコマやコープさっぽろのことも連載記事にされていましたね。

佐藤:同僚と一緒に取材して記事にしました。北海道を代表する企業として存在感が大きいと思ったのですが、自分が関心のある流通の観点からもとても興味深かったです。物流の専門紙にいたからさらに感じるのですが、小売業が自社で物流までやってしまうというのは、どこでもできることではありません。全国的知名度は高くないかもしれませんが、特筆すべきことかと。北海道という広い土地で、僻地まで物を届けなくてはいけないという課題に取り組んでいるのが両者に共通するところです。

  セコマの丸谷智保会長にもインタビューされていましたね。

佐藤:忙しい方なので、最初は1時間も時間が取れないと言われて事前に質問事項を削って臨んだのですが、実際にお会いしてみたらとても丁寧に説明していただき、結局2時間以上のインタビューになりました。

 関心事の中に「外国人との共生」というのがありますね。

佐藤:これも自分ごとなのですが、夫がナイジェリア人なんです。ナイジェリアでは日本以上に子育ては女性がやるものという意識が強いようですが、夫はずいぶん手伝ってくれます。札幌で仕事をしているのですが、日本語がまだ流暢でないので思うような職にはつけません。子育てを1人で任せることにも限界がありますが、彼なりに一生懸命やってくれています。人口減の中、外国人はますます増えていくと思うので、これもまさに人ごとではありません。

  北海道は2回目の勤務ですが、これは希望されたのですか?

佐藤:いや、全く。ある日突然言われました。北海道経験者、ということで選ばれた気もします。

  北海道暮らしはいかがですか?

佐藤:1回目は若いこともあって、楽しい思い出しかないのですけど、歳を取ると正直寒さが厳しいのがちょっとつらいかな。でも子どもを育てるにはいい環境だと思っています。 

  同感です。ぜひ北海道暮らしを楽しんで下さい!

佐藤 亜季 記者
岡山県岡山市出身。2002年9月、朝日新聞社入社。
富山総局、旭川支局、札幌報道部、大阪本社経済部、東京本社経済部を経て、2021年4月から北海道報道センター勤務。
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