

今回の記者さんは今年4月に朝日新聞に入社した波多野愛美記者です。大学の写真学科で学び、映像報道部門で採用されました。北海道報道センターに記者として配属され、最初の2年間は記者としての基礎を身につけます。日々の事件・事故を追う道警の担当で、この夏は高校野球の地方大会でも、「決定的な瞬間」を追います。
—写真記者を志したきっかけを教えてください。
波多野:大学4年の11月まで16年間空手をやっていました。先輩のお父さんがスポーツ紙のカメラマンで、よく写真を撮ってくれていて興味を持ったのがきっかけです。自分でもプロ野球(埼玉西武ライオンズ)のファンで、よく球場に試合の写真を撮りに行っていました。自分の実力ではオリンピックに出場できないけれど、写真を撮るという形でなら参加できるかもしれないと思いました。大学を選ぶ際も座学だけではなく、実習系の授業が多いところと考えて写真学科にしました。体を動かしながら、色々なところに行って撮影するのは楽しかった。新聞記者の仕事にも通じるところがあります。
—道警の担当はどうですか?
波多野:意外と楽しいです。研修中は「警察取材は怖い」というイメージがあったのですが、警察官と話してみると優しい人が多い。特に「空手をやっていた」と言うと、親近感を持ってくれるようです。「35歳までなら警察官になれるぞ」と転職を勧められたこともあります。転職はしませんが、「考えておきます」と返事をしました。
—北海道に来て2カ月。印象に残る取材は?
波多野:札幌市内で6月中旬に開かれる「YOSAKOIソーラン祭り」です。275チーム、2万7千人が目抜き通りで演舞を披露。デスクから「絵になるから、絶対に面白いよ」と言われて取材に行きました。団体によって全く違う演舞にみせられました。沿道のお客さんも結構多くて、「こんなに盛り上がるんだ」と驚きました。
人数の多い団体が振りを揃え、ジャンプのタイミングもピタッと合わせる。雨の中でも情熱的に踊る姿が印象的でした。インパクトのある写真がたくさん撮れ、デジタル用に、ズームやロング、様々な画角の写真を出稿できました。
—プロ野球の試合も撮影に行かれるんですね?
波多野:6月14日に日本ハム対中日の交流戦をエスコンフィールドで撮影する機会をいただきました。大学生の時、都市対抗野球のオフィシャル写真を東京ドームで撮影するアルバイトをしていたのですが、仕事としてプロ野球を撮るのは初めて。熱気が全然違います。観客が多く、後ろからも前からも声援が飛んでくる。そして、球速が速い。三塁側の日ハムベンチの横から撮影していたのですが、ホームランの後、ベンチに戻ってくる選手がハイタッチをする様子もすぐ近くで見ることができ、感激しました。
—スポーツ写真を上手に撮るコツはありますか?
波多野:両眼を開いて左目でファインダーをのぞき、右目で別の選手の動きを追う。野球であれば、左目でバッターをとらえつつ、右目でピッチャーの投球動作を見ることで、いいタイミングでシャッターを切ることができます。左目でピッチャーに焦点を当て、右目で走者を見ることで盗塁の瞬間を押さえることもできる。ずっと空手やキックボクシングをやっていたので、動体視力はいい方かなと思います。ただ、決定的な一瞬を取り逃すのは怖いですね。内野フライと油断してカメラを置いたら、エラーで点が入るかもしれない。気が抜けません。今後、ラグビーやアイススケートも撮ってみたいです。定型のある野球と違って、インパクトのある絵がどこで撮れるのかわからない。考えながら撮るのが楽しみです。
—他に北海道で取材してみたいテーマはありますか?
波多野:大学の卒業制作のテーマは地方創生でした。新潟のスキー旅館が閉館し、その周囲の自然の風景と合わせ、撮影しました。また、里山の棚田を走るトレイルランニングでは、給水スポットに地元の女性たちが作ったご飯が並び、地域と地域外の交流の拠点になっていました。北海道でも過疎化が進んでいる地域で多くの町おこしイベントが行われているときいています。その風景やかかわっている人たちを撮りたいです。
牛、馬、羊など酪農系の取材もしてみたい。先日、高校野球に関連して、別海高校の野球部員が家業を手伝って牛を育てているところを取材しました。高校の3年間は野球に専念するけれど、将来は酪農家と決まっていると話していました。北海道ならではの話だと思いました。
—北海道で体験してみたいことはありますか?
波多野:父がスキーの指導員資格を持っている影響でスキーに親しんできました。ホームゲレンデが新潟なのですが、北海道の雪質は全く違うと聞いて、ぜひ滑ってみたいと思っています。赴任するとき実家からスキー板を持って来て、冬に備えています。
2003年東京都出身。日本大学芸術学部写真学科卒業後、2026年4月、朝日新聞社に入社し、北海道報道センターに配属。現在は北海道警を担当。スポーツ写真を撮るのが好きで、将来は五輪やメジャーリーグなどを担当してみたいという。