朝日IDをお持ちの方はこちらから
AFCのログインIDをお持ちの方(2024年7月31日までにAFCに入会された方)はこちらから
新規入会はこちらから


「世界最大のタコ」を撮影するため、今年6月、知床半島の羅臼町沖で潜水取材を行った。
大きな個体は腕を広げると3メートルを超すミズダコ。迫力ある姿は「海の怪物」そのものだ。
海中ルポの記事とともに動画を「朝日新聞デジタル」で公開したところ、3日間で459万回の閲覧があり、多くの方にご覧いただくことができた。
私がダイビングの免許を取得したのは大学院1年のとき。ただ、1992年に記者として新潟支局に赴任すると「ポケベル」を持たされ、事件や事故などがあるとすぐに呼び出されるようになった。
海に潜っていたら、ポケベルの音は聞こえない。記者を続ける以上、ダイビングは諦めようと思った。
そんな時、「記者だって海に潜れるよ」と声をかけてくれた先輩がいた。当時、佐川急便事件の取材で連日、一緒に知事公舎前の「張り番」をしてくれた東京本社写真部(現・映像報道部)のカメラマンだ。その声に押されて、新潟県・佐渡の海でダイビングを再開した。
当時の朝日新聞はちょうど、地方版にカラーのページが増えた時期だった。佐渡の海で撮影した魚などの水中写真が地方版にカラーで掲載され、デスクが喜んでくれたのを覚えている。
その後、東京本社の科学部(現・科学みらい部)に移ってからは、本格的に潜水取材に取り組んだ。
黒いヘドロの舞う大阪湾から、サンゴの白化現象が広がる沖縄県・石垣島まで。各地で潜水取材をした経験は、南米ガラパゴス諸島で起きたナマコの密漁のルポや、極寒の南極海での海中ルポに生かすことができた。
休みの日にも、趣味で静岡県・伊豆半島で潜るようになり、水中写真を撮り始めてかれこれ30年ほどになる。その写真をもとにした科学コラムを今年8月、『ふしぎ?なるほど!海の生き物図鑑』(海文堂出版)として本にまとめることもできた。
これからの時期、知床半島にはサケが遡上し、冬になればタラバガニの大群が押し寄せる。ふだんはなかなか見ることができない水中の世界から、今後も「現場ルポ」の発信を続けたい。
朝日新聞 根室支局長. 山本 智之
