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北の記者席から vol.40
北の記者席から

VOL.40異文化を楽しむ

今月の執筆者|朝日新聞東京本社スポーツ部 記者(北海道駐在) 鷹見正之
公開:2025年7月22日

 今季からプロ野球の北海道日本ハムファイターズを担当しています。就任4年目の新庄剛志監督(53)のもと、現在、チームはパ・リーグ首位。2016年以来のリーグ制覇へ向け、ファンの期待も高まっています。

 好調なチームを引っ張る一人が、来日2年目のフランミル・レイエス選手です。ドミニカ共和国出身の29歳。14本塁打、40打点はともにリーグ1位の成績です。本当に頼りになる強打者ですが、ファンの心をつかんでいるのは、それだけではありません。

 「アリガトウゴザイマース!」「最高デース」「お疲れさまデース」

 試合後のヒーローインタビューでは、覚えたての日本語を駆使して、ファンを沸かせます。

本塁打を放った日本ハムのレイエス選手 = 2024年9月、角野貴之撮影
本塁打を放った日本ハムのレイエス選手 = 2024年9月、角野貴之撮影

 私たち「番記者」は試合後に帰路につく選手たちをつかまえて話を聞きますが、ここでもレイエス選手は日本語を交えながら応対してくれます。

 6月1日のロッテ戦でサヨナラ本塁打を打った際にお立ち台で「えっぐいホームラン。すごーい」と日本語で叫びました。「えぐい」なんて言葉をどこで覚えたのか。報道陣からの質問に「実はベンチに戻ったとき、吉田賢吾選手にそう言われたんだ」。その言葉に興味を持ち、早速、ヒーローインタビューで使ったそうです。

 取材を終えて帰る際には必ず「また明日」や「また明後日」と日本語であいさつもしてくれます。

レイエス笑顔で出迎える=2025年4月、加藤丈朗撮影
レイエス笑顔で出迎える=2025年4月、加藤丈朗撮影

 レイエス選手を見ていると、以前に担当したダイエー(現ソフトバンク)で活躍したロドニー・ペドラザ投手を思い出します。1999年に初来日し、当初は2軍暮らし。ある時、半分に割ったパンを片手に「この黒いのは何?」と聞かれました。「ああ、小豆だよ」。生まれて初めて遭遇した「あんパン」に目を丸くしながらも「おいしいね」と食べていました。好物は「スーパーのパック寿司」。日本語も覚え、グラブにはカタカナで自分の名前を刺繡していました。ペドラザ投手は2000年から2年連続で最優秀救援投手に輝きました。

 2人に共通するのは、異文化を楽しむ「心持ち」だと思います。先入観を持たず、その土地の言葉や文化、習慣を受け入れ、そして生活を楽しむ。そんな柔軟な考え方があるからこそ、厳しい状況に置かれても力を発揮できるのではと感じます。取材先から学ぶことは本当に多い。この仕事の「ありがたみ」を感じています。(記録、年齢は6月25日現在)

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