朝日IDをお持ちの方はこちらから
AFCのログインIDをお持ちの方(2024年7月31日までにAFCに入会された方)はこちらから
新規入会はこちらから

菓子メーカーの明治が1971年に発売したハードキャンディー「チェルシー」が生食感になって北海道土産で復活しているという記事を書いた。復活させたのは、サイコロキャラメルの復活実績を持つ道南食品(函館市)。「生食感」なので、カリカリと楽しむことはできないが、ちゃんとバタースカッチ味だ。
両親と祖母の4人暮らしだった幼い私にとって、アメは祖母からもらう甘露、ニッキ、塩など「和風」がメインだった。そんな中にあって、母が買ってきてくれるチェルシーは「洋風」のおしゃれなアメだと感じていた。
CMで、日本語が母語ではない人のイントネーションで「チェルシーはママの味 あなたにもチェルシーあげたい」と流れていた影響もあるかもしれない。脳内で再生されない年代の人には伝わりにくいと思うが、海外っぽいカタコトの日本語だったのだ。

ヨーグルト味もあった気がする。これはこれで特別感があったように思うが、やはり王道はバタースカッチ味。かみ砕いて独特の「食感」を楽しむ際に広がる味のバランスが最高なのだ。
アメを包んでいる紙もかっこよかった。私に提供される和風のアメが透明のビニールのような素材で少しアメにくっついているのに対し、いかにも高級そうな折り目のある個包装の紙は捨てるのがもったいないほど美しかった。
調べると、72年11月25日の朝日新聞夕刊にチェルシーの広告があった。「明治バタースカッチ チェルシー」とあり、その下に姉妹品が「ヨーグルトスカッチ」と書かれている。説明文によると、「妹」らしい。やはりメインはバタースカッチ味なのだ。この広告のときには発売から1年ほど経っているはずだが、時代の速度感が今とは違うからだろうか、「深い味わいを主張するキャンデーの新分野」とある。1年ぐらいはまだまだ新分野として浸透を図る段階だったのだろう。
この広告で新たな発見があった。チェルシーがママの味なのは、ママが買ってきてくれるからではない。「そのむかし、スコットランドのママたちが作ってくれたおいしさ」だからなのだ。
説明は「そぼくで、なんとなくやさしい。フレッシュなバターをぜいたくに使いました。コクのあるなめらかな舌ざわり。ステキなかみごこち。そっとおクチにいれたら、スコットランドの草原のにおいがするかしら」と続く。草原のにおいがしたらちょっと嫌だけど、北海道で復活するにふさわしいコンセプトのアメだったんだなと再認識した。

執筆者
朝日新聞北海道報道センター 後藤 泰良
道内面の記事 https://www.asahi.com/articles...