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北斗市のトラピスト修道院を取材した。1896年(明治29)に創立されたカトリックの厳律シトー会の男子修道院だ。
トラピスト修道院といえば、道南有数の観光名所でもある。また、「トラピスト」を冠したクッキーやバターなどの製品は北海道土産の代表格で、東京でも販売されるほど名が通る。修道院の厳かな雰囲気や、参道にもなっている、スギやポプラの美しい並木道にひかれて多くの人が訪れる。
今回の取材で焦点を当てたのは、小高い丘の上にある修道院からの素晴らしい眺めだった。眼下に並木道が一直線に津軽海峡へと続いているかのように見えるのだ。
記事を書くには並木道の成り立ちを知らなければならない。修道士の坂本耕一さん(74)によると、第2次世界大戦後の1950年(昭和25)頃に修道士たちが防風林として植え始めたという。
ただ、並木に関する文献はほとんどなかった。困っていたら、北斗市郷土資料館の学芸員の時田太一郎さんが国土地理院のサイト「地理院地図(電子国土Web)」を教えてくれた。現存する航空写真を年代別に見ることができ、高解像度で表示すれば拡大しても家並みや道路、畑や木々の状況がわかる。
修道院周辺では終戦前年の44年(昭和19)11月に陸軍が撮影したものが最も古かった。現在と同じ位置に一本道が通っているが、並木は見当たらない。48年(昭和23)4月と5月に米軍が撮影した写真でも、やはり並木は確認できなかった。いずれも白黒の写真だ。
次の写真は国土地理院によって68年(昭和43)に撮影されたものを待たなければならない。これも白黒だが、はっきりと並木が写っていた。ただ、木々は現在より小さいようだ。修道院の坂本さんの説明や航空写真から、戦後しばらくたって植林され、今の形になったのは間違いないと判断できた。

「電子国土Web」は取材や研究だけでなく、色々な使い方ができる。たとえば、自宅や実家の航空写真を年代別に見るのも楽しい。かくいう私は取材の合間に、東京で長く住んでいた場所を調べてみた。当時住んでいた建物は取り壊されて今はないが、建築前や建築後の周辺の様子を順を追って見て、不思議な感慨を覚えた。
みなさんも試してみたらいかがだろうか。「電子国土Web」は下記リンクから。
電子国土Web
朝日新聞北海道報道センター
函館支局長 野田 一郎
プレミアムプレス通巻247号掲載の「朝cafe」VOL36「トラピスト修道院の並木道」の記事で、「1896(明治29)年に日本最初の男子修道院として創立されたフランスの厳律シトー会の修道院だ」とあるのは、「1896(明治29)年に創立されたカトリックの厳律シトー会の男子修道院だ」の誤りでした。訂正して、おわびします。