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新聞記者になって、これまで東京、長崎、福岡、広島で勤務した。正月と夏休みに北海道の実家へ帰省するたびに必ずまとめ買いしてきたものがある。

カップ麺「やきそば弁当」だ。道民のソウルフードと言っていいこの商品が、今年で発売50周年の節目を迎えた。
東洋水産本社(東京)を訪ね、その歴史を取材した。記事は「小腹満たし半世紀 道民食『やき弁』」の見出しで2月21日付の道内面に掲載された。
同社によると、1975年に本州で先行発売。翌76年から北海道でも発売され、その後本州での販売が終わったため、文字どおりの「北海道限定」になったのだという。やき弁の代名詞とも言える付属の粉末中華スープは、道内発売キャンペーン限定の「おまけ」だった。ところが、キャンペーン終了後、「なぜスープをやめたのか」とクレームが殺到し、復活させたという。麺の戻し湯を活用してスープを作るというコペルニクス的な発想が光る。口の中がパサついた時、ほどよい温かさのスープにほっとする道産子は多いと思う。
同社の即席麺は「マルちゃん」のブランドで親しまれ、日清食品に次いで国内シェアは2位。ただ、他社に先駆けて進出した北海道では不動の首位だ。
63年、釧路にすり身工場を作り、翌64年には即席麺工場を札幌に作った。カップのやきそばがどれほど消費者に受け入れられるのか、まだ不透明だった時代。同社のソーセージや缶詰になじみがあった北海道では自然にやき弁が受け入れられた。
私自身、発売当初から食べ続けている。個人的な好みを言えば、日清食品の主力商品「UFO」はソースの味が濃厚で、食べ盛りの若者向きの印象。
首都圏で最も売れているペヤング(まるか食品)は辛めのソースと細麺の相性が魅力だが、スープが欲しくなるのは道産子の性か。
ちなみに東洋水産によると、やき弁のソースは「野菜と果実のうまみを加えて少し甘め」にしているそうだ。はて、道産子は甘めの味つけを好むのか。
その自覚は全くなかった。
「道民の方は甘めの味つけが好きですよ。間違いありません。そばやうどんの汁も昆布のだしがきいた甘めがお好きです」。8年の北海道勤務歴を持つ吉田憲司・即席企画課長はそう断言する。
そういえば甘納豆入りの赤飯も道民のソウルフードだったな、と納得した。
朝日新聞北海道報道センター記者
畑中謙一郎
