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北の記者席から vol.34
北の記者席から

VOL.34「北海道の魅力」がつないだ、 老舗レストランのバトン

今月の執筆者|朝日新聞北海道報道センター 上地兼太郎
公開:2025年1月20日
レストランはまなす

  朝日新聞道内版ではこの正月に、北海道に魅せられて世界各地から移り住み、それぞれの分野で活躍している人たちを紹介しました。私はそのうち、道東・白糠町で約60年続く「レストランはなます」を、事業承継という仕組みで受け継ぐべく、シェフとして奮闘している中国出身の長谷川相業(シャンイエ)さんと、彼女を支える英倖(ひでゆき)さん夫婦の回を担当しました。

 沖縄出身の私が2005年4月に朝日新聞へ入社すると、初任地の辞令が札幌。3月下旬に東京であった大学の卒業式は桜吹雪でしたが、2~3日後に引っ越しで新千歳空港に着いたときは雪の吹雪で戸惑ったことを、今でもたまに思い出します。

 ましてや長谷川さん夫妻、テレビや映画で北海道の風景に憧れて移住したとはいえ、異国で、また決して人口が多いわけではない土地で商売をやっていこうとは、生半可な気持ちでは到底思わないでしょう。2人の背中を押したのは、客として訪れていたとき、周りのお客さんの笑顔、そして白糠や道産の食材の魅力だと言います。

 私が「はまなす」を知ったのは約10年前、2回目の札幌勤務時でした。夏休みで道東へ行こうと思い立ち、何冊かの情報誌をめくるうちに見つけ、夕食に訪れました。そうしたらメニューは100近く、ワインも道産や外国産がお手頃な値段で提供されていることに驚き、ついつい食べ過ぎ、飲み過ぎてしまいました。その後も道東に行くときには、「はまなすには、いつ行くか」「では、どこで泊まるか」を軸にして、前後の旅程を決めていました。

長谷川相業さん(左)と英倖さん(右)

 その後、閉店が取りざたされていること、長谷川さん夫婦が受け継ぐことをそれぞれ知り、取材することができました。

 全国平均よりも速いペースで過疎・高齢化が進む北海道。コロナ禍もあり、惜しまれつつ閉店する店は、これから増えていくでしょう。特効薬はなかなか見つかりませんが、取材や記事を通じて、模索していきたいと思います。

 かたい話はさておき、「はまなす」のおすすめは、白糠産のエゾシカやラム肉のハンバーグに、白糠酪恵舎のチーズを組み合わせたセットです。東京だと倍の値段はするでしょう。また白糠名産のタコを使った、タコのミートソースパスタも絶品です。食後には自家製プリンもどうぞ。昨年末には道東道が延び、道央と釧路が直結しました。特急が止まる白糠駅からも徒歩数分なので、お酒を楽しんでからの移動も便利です。道東旅行の合間に、はまなすで白糠の味をいかがでしょうか。

朝日新聞北海道報道センター  上地兼太郎

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