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1913年~31年に北海道庁が刊行した『北海道主要樹木圖譜』全3巻が本書の大本。世界最高水準の写真彫刻石板術によって出版されたもので、原型のままの『覆刻版』が1984年に、86年には一般に利用しやすいよう文章をリライトし3分の2サイズ全1巻の『普及版』が刊行されている。それらを主導した辻井達一北大植物園長(当時)が「人と時間と技術を惜しむことなく注ぎ込んではじめて完成させることができた本書のような図譜は、もう二度と生まれることはないかもしれない」と解説に記した名作である。
『普及版』刊行以降、新たな資料の発見などにより『圖譜』成立経緯の研究が進んだ。1918年開催「開道50年記念北海道博覧会」で展示された「展示樹木図譜」、その後出版された『圖譜』、失われたと考えられていた「原画」、いずれも須崎の手になるそれら図版の関係や異同を加藤克北大准教授が詳細に検討し、その成果を取り入れ装い新たによみがえったのが本書だ。図版は、68点は原画を使用し、原画が見つからなかった19点は『図譜』『覆刻』を使用している。まず手に取って、北海道を代表する85樹種の細密な図版をルーペとともにご覧いただき、その美しさと植物の不思議を感じてほしい。そして辻井がリライトした宮部・工藤による格調高い解説文を、図版と対照しながら読み進めてほしい。美術書としても楽しめる名作である。
著 宮部金吾・工藤祐舜 画 須崎忠助 出版 北海道大学出版会 発行 2024年5月25日 価格 6600円(税込)