1996年(監督:金子修介)
ロケ地:札幌

太古に生きた恐竜の化石が数多く発掘され、注目を集める北海道。映画に関して言えば、空想上の巨大生物“怪獣”が何度か上陸し、スクリーンの中の道民をパニックに陥れている。中でも「ガメラ2 レギオン襲来」は、ゴジラと並ぶ人気のヒーロー怪獣・ガメラが、なんと札幌・ススキノで敵と対決。それまでの怪獣映画とは一線を画したリアルな設定や人間ドラマが話題とな り、前後に作られた「ガメラ 大怪獣空中決戦」(1995年)「ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒」(99年)とまとめた“平成ガメラ3部作”の呼び名で今なお根強い支持を誇る、特撮シリーズ第2弾である。
物語は、北海道に流星雨が降り注ぐ異変から始まる。恵庭岳近くに落下した隕石を探す陸上自衛隊員の渡良瀬(永島敏行)は、ひょんなことから知り合った札幌市青少年科学館の職員・穂波(水野美紀)、NTT北海道のエンジニア・帯津(吹越満)に協力を求める。すると、札幌の地下鉄構内に宇宙昆虫が出現!ススキノの商業ビルも巨大な宇宙植物に占領され、札幌の街は騒然とする中、ガメラが降臨。「レギオン」と名付けられた未知の新怪獣とガメラ、人類の死闘が始まった…… 。
少年時代に「ウルトラQ」と出会い、怪獣映画を撮るのが夢だったという金子修介監督と、「シン・ゴジラ」など日本特撮界をけん引する特技監督の樋口真嗣さんが生み出した“平成ガメラ”の世界は、令和の時代でも見応えたっぷり。なぜ北海道を舞台にしたかといえば、夕張の映画祭に参加した樋口さんが、「雪の中に立つガメラが見えます」と打ち合わせで発言。前作「大怪獣空中決戦」の九州地方とは対照的に、今度は北から始めることにすんなり決まったと、金子監督が自著「ガメラ監督日記」で振り返っている。著書で綴られる札幌ロケの裏話も興味深いけれど、特に目を開かされたのが「見えないモノを相手に芝居する」という怪獣映画ならではの難しさだ。俳優がいかに怪獣の姿を想像し、真剣に演じるかが、緊迫感を高めるカギだと知ると、わずかなシーンのちょっとした目線にもつい見入ってしまう。
ここ数年、ウルトラマン好きの息子とともに怪獣文化の魅力に触れてきた私にしてみれば、「エキストラでいいから参加したかった!」のが本音。実際、公開年の1月に行われた札幌ロケには、500人ほどのエキストラ枠に5倍もの応募者が殺到したとか。喜々として逃げ惑う市民エキストラに加え、鈴井貴之、安田顕、大泉洋ら北海道ゆかりの俳優たちが一瞬登場するのも見逃せない。
ちなみに、元祖ガメラの1作目、1965年の「大怪獣ガメラ」を見てみたら、北海道のえりも岬にガメラが出現し、カメ好きの少年と交流するではないか!ガメラと北海道の関わりを知れば知るほど、後悔することがある。実は2012年、私は苫小牧ロケ「のぼうの城」キャンペーンで来札した樋口さんにお会いし、冬には函館の映画祭会場で金子監督とも対面した。ところが悔しいことに当時は、ガメラシリーズの面白さもウルトラマンの奥深さも知る前。今なら聞きたいことが山ほどあるのに!

イラスト&文 新目七恵(あらため・ななえ) ライター、ZINE「映画と握手」発行人。安達祐実主演の「REX 恐竜物語」(1993年)は赤井川・鹿追ロケ。「ガメラ2」と同じ年に公開された「モスラ」は丸瀬布の森林開発現場がメイン舞台です。北海道出身の作曲家・伊福部昭による音楽で知られるゴジラシリーズでは、「ゴジラ2000 ミレニアム」(1999年)の冒頭、根室にゴジラが出現します!