2024年(監督:綾部真弥)
ロケ地:函館

「ベストを尽くして演じました。精いっぱい生きる主人公の姿が、皆さんの人生の活力になれば!」。青春ドラマのような言葉に、胸が熱くなった。声の主は、「おいしい給食」シリーズに主演する市原隼人さん。2024年3月、札幌の映画館サツゲキで開かれたイベントでの出来事だ。
「おいしい給食」は、1980年代の中学校を舞台に、普段は厳格、でも、愛する給食の時間はテンションMAXという風変わりな教師・甘利田(あまりだ、市原)の日常を描く学園コメディー。生徒をライバルに、「どれだけおいしく味わえるか」という〝給食グルメバトル〟を繰り広げる。
シリーズは2019年のテレビドラマに始まり、「劇場版 おいしい給食 Final Battle」(20年)で完結。と思いきや、第2弾のドラマ・映画が製作。シーズン3では、甘利田先生が東京から函館へ転勤となり、北海道のご当地給食もふんだんに登場。ドラマに続く映画第3弾「おいしい給食 Road to イカメシ」が公開されたのは、24年5月のことである。
冒頭に話を戻すと、「Road to イカメシ」の公開を控えたこの日、上映されたのは、映画第1弾「Final Battle」。実は、それまで見たことがなかった私は、ステージに登壇した市原さんら制作陣と、会場に集まった多くのファン(=「給食当番」と呼ばれます)の熱量の高さに驚き。そして、映画を見て納得した。笑って、泣けて、お腹が空く。これは私の大好きな、ド直球エンタメ作品だった! 慌てて過去作(ドラマ各全10話×3+映画2本=32本)をイッキ見し、「給食当番」の仲間入りを果たした私は、「Road to イカメシ」の劇場公開に何とか間に合ったというわけである。

シリーズ共通の大きな見どころは、甘利田先生の実食シーンだろう。コッペパンやびん牛乳、わかめご飯といった、懐かしい、とはいえ、そこまでおいしかったとも思えない定番メニューの数々が、給食好きの目を通すと、あら不思議。何とも魅力的な一品に見えてくる。それは市原さんの熱演あってこそで、キレの良い、底抜けにコミカルな動きは爆笑必至。本作ではさらに、冬の函館の風景を背景に映画「酔拳」風の二日酔いあり、映画「モダン・タイムス」風のローラースケートありとサービス満載。目が離せない。
「たとえ滑稽でも、好きなものは好きと胸を張り、人生を楽しむべき」と市原さんは作品に込めたメッセージを語っていた。確かに、恥や外聞もなく、忖度(そんたく)もせず、〝給食道〟を突き進む甘利田先生の姿は、時にハッとするほど格好いい。
さて、「おいしい給食」と出会ってから、私は内心、給食ブーム。子どもが通う小学校の献立表を眺めては、うらやましさでため息をつく日々である。本誌238号で地産地消が進む北海道の学校給食が特集されていたけれど、今の給食はバラエティーに富み、実に「うまそげじゃないかー!」(甘利田語録より)。甘利田先生同様、料理が苦手な私にとっては、毎日のおいしさを陰で支えてくれている調理員や栄養教諭、食材の作り手の皆さんに、心から感謝の日々でもある。

文&イラスト 新目七恵(あらため・ななえ) ライター、ZINE「映画と握手」発行人。「おいしい給食」は今年10月、第4弾の映画が公開!「炎の修学旅行」と名付けられた新作の舞台は、青森と岩手。ということは、北海道から南下している!? ぜひこの勢いで日本47都道府県を制覇してもらいたい。回を重ねるごとにオーバーリアクションになる市原さんの体を心配しつつ(笑)、応援しています。