藤本 英夫(草風館)
登場する地域:登別、旭川

知里幸恵といえば登別出身で、彼女の業績とアイヌ文化を広く伝承する「知里幸恵 銀のしずく記念館」が有名であるが、旭川でも彼女の功績は広く知られている。
彼女は6歳から19歳までの約13年間、伯母である金成マツの養女となり、旭川で暮らした。その生活していた場所が、旭川市立北門中学校の敷地であったことから、同校では毎年6月8日に生誕祭を実施している。その様子や関連した地域の取り組みは毎年新聞等で報道されている。
北門中学校のホームページによると、1990年に校舎の前庭に「知里幸恵文学碑」が建てられ、1997年に校内の一角に「郷土資料室」、2007年に「知里幸恵資料室」が整備されている。
彼女は心臓病のため19歳と3カ月で亡くなったが、その年の5月に上京して金田一京助氏宅で「アイヌ神謡集」の校正作業をし9月に亡くなっている。その翌年に「アイヌ神謡集」が出版され、彼女の早世は多くの人をから惜しまれた。短命であったが、才能豊かな彼女の功績によってアイヌ文化の多様性や豊かさが後世に伝えられており、旭川の青少年も彼女の作品や生き方を知り、良き伝承者となってくれていると思う。
著者である藤本氏は知里幸恵の生涯を丹念に追い、紹介した本以外にも読み応えのある書籍を出している。アイヌ文化への関心が高まっている昨今、著者の作品を多くの人に読んでいただきたい。