村上春樹(講談社文庫)
登場する地域:札幌、十二滝町(美深町仁宇布がモデル?)

突然の失踪劇から5年後、「鼠」から手紙があった。同封された羊の写真を人目につくところに出して欲しいという。消印は北海道だった。「僕」が雑誌に写真を載せたところ、「僕」に接触を求めてきた男がいる。彼は右翼の大物の第一秘書を務める人物だった。
彼によると、この写真の中に一頭だけ日本には存在しないはずの羊がいる。この写真の由来を知りたいという。「僕」が拒否したところ、男は二か月以内でこの羊を探し出すよう要求してくる(これは後に一か月と短縮された)。探し出せた場合は欲しいだけの報酬を出す。探し出せない場合は会社も「僕」もおしまいになる、というのだ。
こうして「僕」は北海道に渡ってくる。こうして〈羊をめぐる冒険〉は始まった。札幌で選んだホテルがドルフィン・ホテル。同行した女が直感でこのホテルに決めた。「鼠」の居所を探さねばならず、試行錯誤していたが、このホテルの建物がかつて北海道綿羊会館として使われていたことを「僕」は知った。例の写真についてもフロントの男は見覚えがあるという。さらに彼の父親が羊博士として二階にこもっているとのことだった。
この羊博士はかつて写真に写った牧場で9年間暮らしていた。この牧場のことをやはり尋ねにきた人物がいるそうだ。それは多分「鼠」に違いない。そう確信した「僕」は牧場のある十二滝町を訪れる。「鼠」の失踪の理由は何だったのか。そこからまさに春樹ワールドが展開されていく。