矢部志朗(講談社)
登場する地域:音更町

「リス」と言われたとき、私たち道民が真っ先に思い浮かべるものはこのようなものではないだろうか?
―ツンとした耳、フワフワの尻尾、ビュンッと木を登るスピード・・・・・・―
私も漏れなくその一員である。そう、私たち道民が「リス」と言われて想像するものは、いわゆる「エゾリス」である。今回、この書評を書くに際し、北海道外にはどういった「リス」が生息しているのかを調べてみた。すると、「ニホンリス」というのがいるようだ。
「どれどれ、ニホンリスとエゾリスはどれほど見た目が変わっているのかな?」と、意気揚々と見てみると、あら不思議。そんなに変わらないじゃないか。
ちょっとがっかりすると同時に、ある感情が芽生えた。
―これって、私が見分けられないだけなのではなかろうか―
私たち現代人は、その忙しさと触れることのできる情報量の多さから、自分から見ようとしなければ見られないものと多く接しているのだと思う、きっと。この本に集められている一枚一枚の写真。そこに付されている著者の解釈。この一冊には、あまりにも早く流れていく時間を写真という媒体で切り取り、それを自分なりに意味づけていく営みが記されているのだ。こうした営みのかけがえのなさに気づかされるだけでなく、同じ音更という地にいるにも関わらず、著者と「エゾリス」が織りなすような豊かな時間を過ごせていない自分の浅ましさを恥じつつ、筆を擱(お)く。