久住 邦晴(ミシマ社)
登場する地域:北海道大学

札幌市の西区琴似にあった街の本屋さんが時代の波にどのようにあらがい、何を残していったのか、その「くすみ書房」社長・久住邦晴さんの苦闘と創意工夫、最後まで諦めずに描き続けた夢が記された本である。また、久住さんの戦いを通して、ここ20年ほどの間に北海道がどのように変わってきたか、書店経営という窓からその一側面を知ることができる。
1999年の地下鉄延長により、「くすみ書房」最寄りの琴似駅が最終駅から途中駅に変わる。もともと慢性的な赤字を抱えていたところに、人の流れが変わることにより、売り上げが20%もダウン。さらに息子さんが突然の病に倒れ、亡くなる。いったんは閉店を決意した久住さんだが、閉店を息子のせいにされることだけは避けようと考え、経営の立て直しを決意する。
そこから久住さんがどのように努力されたのかは、是非、本書を読んで確かめていただきたいところ。その努力の過程で「くすみ書房」と久住さんは全国に名を知られる存在になっていく。
久住さんも2017年、志半ばにして病に倒れ、帰らぬ人となった。本書は遺稿を元に有志がまとめたもの。
本の持つ無限の力を信じ、街の本屋の価値を信じ、諦めることなく努力を重ね続けた姿勢に感動と勇気をもらえる一冊だ。