このWebサイトの全ての機能を利用するためにはJavaScriptを有効にする必要があります。
>HOME  >よみもの一覧  >地域を知る一冊  >「ひかりごけ」(2024/1/15)
地域を知る一冊 vol.69

ひかりごけ

武田泰淳(新潮文庫)
登場する地域:知床

公開:2024年1月15日
地域を知る一冊
公開:2024年1月15日

 高校に在職し、国語の授業を行ったり、図書館の担当になったりしていたころにずっと「ぜひとも高校2年生以上の多くの人に読んでほしいなあ」と思っていた一編がありました。とても“重い”一編です。それが「ひかりごけ」です。

 特に、後半の「戯曲」をじっくり読んでほしいのです。その上で、読後に「冒頭の「ハマナス」「ハマナシ」のこと、どうしてわざわざ書いたのか?」「ラストをどう思ったか?」「どうして、あのようなラストにしたのだろう?!」「船長が見てほしいのはいったい何なのだろう?」「西川を美形にしたり船長の顔つきを変えたりしたのはなぜ?」「検事たちが光の輪を見ることができないのはどうして?!」。

 そして、何よりも「この一編のタイトルに「ひかりごけ」を選んだのは何故なのだろう?発光するものは他にもあるのに……」などといったことを、“一緒に語り合ってみたい、ほしい”と思ってしまうのです。

 (ただ、この作品は“重い”ので、語り合う相手は選ぶべきです。)「ひかりごけ」は、決してグロテスクでもカニバリズムでもありません。ただただ、人間が生きていくという難題、苦悩、悲哀を物語っていると私は思っています。

 北海道ならではの冬の空・冬の海がひたすらに思い浮かんでしまう、苦難を描いた、悲しくも真剣な作品です。読むたびに私は、真摯に生きていかなければと背筋を正します。

※このページの内容、執筆者の肩書きなどは執筆当時のものです
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください
先頭へ戻る