蜂谷 涼(柏艪舎)
登場する地域:函館、七飯、札幌

日本の近代農業発展に貢献した外国人として、クラーク博士よりは日本国内では知名度が低いものの、北海道の近代酪農・その他牧畜業、競馬会の発展に尽力し、現在でも国内随一の酪農大国として君臨する北海道の礎を築いた人物の1人、「エドウィン・ダン」の物語だ。
エドウィン・ダンの物語とは言いながら、主人公はその伴侶であった「鶴(松田ツル)」だ。青森の商家の娘であった彼女だが、何事にも臆せず、英語を積極的に習ったり、乗馬にもチャレンジしたりといつも前を向いて生きていく。そして現在ほど国際結婚というものが認知されていなかった明治の初め、両親や家族はもとよりそれまで友だちであった人たちからも「洋妾(らしゃめん)」と蔑まれながらも、気丈にダン氏との愛を育み、母としてまた一人の女性として気丈に生きていく姿には、現在さまざまな場面で活躍する女性の一つの姿を垣間見ることができる。
「知友っていうのはね、声に出して言葉を交わさなくても、お互いの気持ちがわかるともだちのことよ」と馬に心を通わせ、それをきっかけとして、後に結婚することになるダン氏との交流が始まる。
作者の蜂谷涼氏は小樽生まれで、北海道を拠点に執筆活動を続けている。北海道を舞台にした作品も多いので、機会があれば触れてみてはどうだろう。